新春BABYMETAL祭り(3) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

1月8日は、2010年から2017年まで、特筆すべき記念がない日でした。たまにはこういう日もあります。

 

1月3日午後3時45分。トイレに行ってから、デロリアンを「Live at BUDOKAN」に入れ替える。

2014年に入り、迎えた日本武道館2Days(2014年3月1日-2日)。

わずか3日前にファーストアルバム「BABYMETAL」が先行発売され、初日は、「Legend“巨大コルセット祭り”」と名づけられていた。

その名のとおり、KOBAMETALの自己暴露とも思える「キツネだおー」で始まり、全編神バンドの生演奏、ラストのC&Rで、”ヘドバン養成ギプス“であるコルセットを投げ捨てる構成は、”メタルをやる変なアイドル“から”メタルライブバンドとしての修行”の終わりを象徴していたと思う。

もちろん、「赤い夜」の真のハイライトは、ラスト前の「ヘドバンギャー!!!」煽り中のYUIの落下。SU-とMOAの二人だけでパフォーマンスし続ける姿と、次のフィニッシュ曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で、YUIが花道に姿を見せ、クラウチングスタートの態勢でSU-と目を合わせ、MOAがうつむいて泣いているあの瞬間。ここは何度見ても涙が頬を伝う。ライブバンドとして最も大切なメンバー同士の「絆」、ギミックに満ちたライブの中で、生身の少女たちであるBABYMETALを目撃できた瞬間である。

DVDなので入れ替え、翌日の“DOOMSDAY”「黒い夜」を見る。

デビュー曲の「ド・キ・ド・キ☆モーニング」を終盤に持ってきて、BABYMETALの歴史を垣間見せた後、「ヘドバンギャー!!!」の最後、バンドがDm→B♭→C→Dmとせり上がっていく中、舞台中央に出てきた狭い円形舞台の上で、銅鑼を鳴らして倒れこむ構成。

この銅鑼は、文字通りBABYMETALの次なる運命を告げる鐘だった。

ここでもぼくは泣いてしまう。キツネ様のお告げに従って「メタル少女歌劇」をやっていた”変なアイドル”から、神バンドを帯同した国内ロックフェス修行、そして本当にサマソニ大阪・舞洲でMETALLICAに認められて世界進出、欧米ツアーに挑戦することが決まった運命の鐘。

あのとき少女たちは、世界中が自分たちを受け入れ、熱狂するとは想像もつかなかったはずである。ぼくはこういう「子どもが自立していく瞬間」に弱いのである。涙が止まらない。

だが、続く「召喚の儀」で、黒いガウンと中国皇帝のような烏帽子に身を包んで登場し、「Scream & Dance、MOAMETAL」、「Scream & Dance、YUIMETAL」、「Vocal & Dance SU-METAL」と一人ひとり呼ばれ、棺桶の中に入っていく瞬間、ほんの一瞬しか映らないが、それぞれ、運命を静かに受け入れ、深く決意したような、なんとも不思議な表情をしていた。

午後6時50分。ここまでで、計8時間50分。

さすがに肩ががちがちに凝っているし、目もしょぼしょぼしてきた。ティッシュの使用量もかなりのものになっている。腹も減った。だが、「一挙全編再生」という至上目標のため、席を離れるのはトイレのみと決めている。

いよいよ欧米ツアーである。幸いというかなんというか、「Live in London」のThe One限定盤は持っていないので、2014年ヨーロッパツアーのハイライトや、9月24日の幕張メッセ凱旋ライブは手元にないので見なくてもよい。いやいや、見たくても、見られない。

「Live in London」の一発目、The Forum(2014年7月7日)を見る。伝統的なオペラハウスだが、武道館に比べれば、チープに見える。これでも当初はもっと狭い会場だったのが、チケットの売れ行きから会場を変更し、7月5日のソニスフィア2014での大好評を受けてSold Outしたのだ。

冒頭、箱の前でBABYMETALを待つイギリスの観客が映る。棺桶が飛来する「紙芝居」から「BMD」が始まる。ドイツ、フランス、ソニスフィアを経たとはいえ、白い紗幕の後ろにいる三人の背中は、イギリスでの初単独ライブに緊張しているように見える。幕が切って落とされ、三人が現れた瞬間、会場は大歓声に包まれる。心配することはない。みんなBABYMETALを待っていたのだ。「BMD」のブレイクで、三人の顔にやっと微笑みが戻る。

セトリは当然ながら「BABYMETAL」の13曲全曲。

「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」で三人の笑顔がはじける。日本と同じだ。初見が多いであろう観客は、BABYMETALの魅力に大熱狂している。

神バンドソロは、「Mischief of Metal Gods」からであるが、藤岡神が入ったアンサンブルは厚みが増し、LEDA神とのコンビネーション、情熱的なBOH神のベースライン、超正確な青山神のドラミングと一体化して、聴きなれたあの”BABYMETALの音”になる。そのあとの変拍子の「悪夢のロンド」は、イギリス人女性評論家がベストに挙げたほど、完璧なパフォーマンスだ。

「CMIYC」の神バンドソロもさらに超絶テクで、「ハイ!ハイ!」と入ってくる三人に、観客はもう興奮のるつぼに叩き込まれる。メタルヘッドたちは、こういう新しいバンドを待っていたのだ。確かにこのThe Forumのイギリス初ライブから、欧米中を巻き込むBABYMETALブームが起こったのがうなずける。

この頃のフィニッシュ曲は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。最後の「イジメ、ダーメ、ダーメ―」からドラムのオカズが入って、ジャーン!とアウトロが鳴る中、「We are?」「BABYMETAL!」を4回繰り返し、「3,2,1」でお立ち台からジャンプする瞬間の写真は、BABYMETAL=Kawaii Metal=空中浮遊=なんじゃこりゃ?という衝撃を欧米メタル界に与えたのであった。

夏のレディガガサポートを経て、追加公演となった「02 Academy Brixton」(2014年11月8日)。

セトリは、「4の歌」と「おねだり大作戦」の順番が入れ替わっただけで、ほぼThe Forumと同じ。

だが、「ギミチョコ!!」でのSU-の煽りは、自信に満ちて、4000人の観客を熱狂させるクイーンぶり。US盤の「BABYMETAL」にもボーナストラックとして収録されているが、とても高校2年生とは思えない、威厳に満ちたハイトーンである。

さらにわけのわからないSF的な「The One」の説明から「Road of Resistance」の初披露。ドラゴンフォースのレコーディング参加は、「紙芝居」でほのめかされるだけだが、初見の観客は、パワーメタルに熱狂し、初見にもかかわらず、「Woo..Woo..」とシンガロングしてくれる。

このライブの前後をNHKが取材しており、「BABYMETAL現象」という特番になり、おっさんファンを激増させることになる。

この段階で、11時40分過ぎ。てっぺんまたぎになる。

さすがに疲れてきたが、見続けているとBABYMETALが、デロリアンを変えるたびに大きく、強くなっていくのが手に取るようにわかる。

(つづく)