ライブバンドとしてのBABYMETAL | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

お正月3日目。

大晦日からお正月は、歌手、アーティスト、芸人たちの生パフォーマンスがTVで流れる、年に一度の機会でもある。

今日は、「NHK第67回紅白歌合戦」(NHK)、「ゆく桃くる桃」(AbemaTV、フジテレビネクスト、テレビ埼玉、チバテレビ等地方局連合)、「東京ドームBlack Night」(WOWOW)を観た感想。

まずは、紅白から。

ぼくは紅白肯定派なので、毎年チラリチラリではあるが紅白を見てきた。歌手が緊張しながら生で歌うので「実力」がわかるし、楽曲の傾向からその年の雰囲気がわかるからだ。

もちろん、昔から毎年、「○○は人気、実力から見て、出ない/出さないのはおかしい」という歌手はいた。だが、その年を象徴するようなアーティストの8割くらいは出てくる。ほとんど流行歌に関心のない世代にとっては、カラオケで歌えそうな流行りの曲を知るのに便利だという言い方もできる。

しかし、今年の紅白歌合戦は、もうバラエティ番組になったようだった。

歌手としては「Perfect Human」のオリラジだけだったが、タモリ、マツコ・デラックスも芸人扱いで「ブラタモリ」風に、楽屋裏をうろつく芝居をやらされてるし、ミニコント仕立てのシン・ゴジラのパートで、ピコ太郎も出てるじゃないか。しかも結構見事な「第九」合唱とのコラボ。

ここで「ゴジラを止めるぞー」というTOSHIの絶叫で始まるX-Japanの「紅」。こんなことをやっている時間があるなら、BABYMETALの「メギツネ」がフルでできるぞ。いやいや、まだ未練があるのか?

初出場のイエローモンキーの「JAM」はもう20年前の曲だが、いまだに力があってとてもよかった。同じようなメッセージソングであるセカイノオワリの「Hey Hoo」よりよっぽどいい。ぼくが古いのかな。初出場と言えば、トップバッターだったPuffy「アジアの純情」は、懐かしかったが、ピッチおかしくなかったか?

さらに初出場の宇多田ヒカルも、ロンドンからの生中継ということだったが、スタジオ撮影で、都内といわれてもわからないほど、海外感がなかった。誰も言わないだろうからはっきり言うが、ピッチおかしくなかったか?緊張していたのかな。

紅白総選挙で物議をかもしたAKB48、中元日芽香が出た乃木坂46、4月のMステと同じ「サイレントマジョリティ」の欅坂46については、あまり言うことがない。さすがにダンスパフォーマンスに気合が入っていたのはよくわかった。X-Japan、イエモンがバンド演奏をする一方で、こういうカラオケ、口パクの「アイドル」の出演はいつまで続くのだろう。

視聴率は40.2%と昨年の39.2%を上回ったという(ビデオリサーチ調べ)。

この結果を受けて、紅白歌合戦のバラエティ化は確実に進んでいくのだろう。BABYMETALが出演する日は、来るのだろうか。

 

ももクロ。

去年の「ゆく桃くる桃」は、紅白卒業の話題性もあったので、YouTubeにアップされたものを全編見た。正直、疲れた。五人は明るくふるまっていたが、なんとなく悲愴感があるように見え、コンディションも悪かったように見えてしまった。はっきり書くが、コンディションの悪い時のももクロ最大の欠陥は歌のピッチが狂いまくることである。去年の前半はけっこうひどかった。特に赤と紫。後半へのつなぎに出た芸人(森の熊さんのやつ)が面白くて大笑いしたが、見終わった後どっと疲れた。ニューアルバム2枚同時リリースを控えて、2016年のももクロ、大丈夫かな、と思ったのも事実だった。

今年は、11時30分までTVで「紅白」をチラチラ見ながら、教会の深夜ミサに出かけ、あとからYouTubeにアップされたカウントダウンライブを見た。1月2日、7日にも同じ会場でライブが続くシリーズ構成となっており、急きょ決まった昨年に比べて、演出・構成がしっかりしていたように思う。

「Overture」が始まり、モノノフたちが「ウリャホイ…」を始めたとき、胸が熱くなった。

2016年の前半、BABYMETALでさえ、海外で活躍している映像が芸能ニュースで時々流れるのに、ももクロは極端に露出が少なくなっていたように思う。だが、夏のライブは以前と同様に大観衆を集め、秋の「アメリカ横断ウルトラツアー」も、現地の動画や写真から判断するに一定の成功を収めたと思う。この頃から以前のようなバラエティではないが、MステでのAKBとの共演など、歌番組への露出が増えたし、スズキのCMは継続して毎日流れている。ジャンルを越境してロックフェスやメタルフェスに挑戦することはなくなり、アイドル・フォーマットに戻った感があるが、モノノフやモノノフ芸人は健在であり、熱狂する観客との一体感をもったライブはやはり動員力日本一であろう。

特筆すべきは、(と上から目線ですいません)歌のピッチが格段に良くなっていることである。ソロ活動もあるし、海外公演もあるしで、相当意識してボイトレを積んだのかもしれない。途中、「猛烈宇宙交響曲」の百田夏菜子の「赤く赤くアンタレスのように…」のところとか、高城れにの「仮想ディストピア」はちょっとやばかった。でもこの二人もほかの三人も、それ以外の曲はおおむねピッチが合っていたと思う。

それにしてもカウントダウン1つ前の「コノウタ」はよかったなあ。これと、「サラバ愛しき悲しみたちよ」はギターパートが弾けるんです。

ぼくは、モノノフではないが、あーりんが自己紹介で「ももクロ最年少20歳です。」と言ったとき、「ああ、全員成人になっちゃったんだなあ」という感慨が沸き起こった。

カウントダウン後、東京03、ハライチ、千鳥、永野、オテンキらの芸人とともに、ステージ上でMCZ全国47都道府県ホールライブももいろクローバーZジャパンツアー「青春」のスケジュールが発表された。4月22日から6月4日まで13県13公演である。いまだに1月以降のスケジュールがまったくアナウンスされないBABYMETALの味方としては、うらやましい限りである。

視聴件数はAbemaの開演直後で100万を突破。LVとして考えれば、すごい数字である。

カウントダウン前後は、もっと見ていただろうし、フジテレビネクスト、テレビ埼玉、チバテレビ、その他のローカル局の視聴者を合わせると相当数の人が見ていたと思う。

国民的アイドルの称号は、メジャーを支配するAKB系になるのだろうが、裏(という言い方が悪ければ、真の)国民的アイドルとして年末の風物詩になればいいと思う。

 

さて、年明け1月1日午後8時からのWOWOW「東京ドームBlack Night」。

編集済みとはいえ、ぼくらが観たライブである。9月20日当日、10月5日のLVに続いて3回目の視聴である。

まず、音量が小さい。前後に入った自局CMの方がよほど大きい。なんでこういう設定なのか、全然わからない。

セトリは、1.BABYMETAL DEATH、2.あわ玉フィーバー、3.ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト、4.META!メタ太郎、5.Sis. Anger、6.紅月-アカツキ-、10.メギツネ、11.ヘドバンギャー!!、12.イジメ、ダメ、ゼッタイ

なぜか、7.おねだり大作戦、8.No Rain No Rainbow、9.ド・キ・ド・キ☆モーニングの中盤3曲はカット。「Live in Wembley」でもそうだったが、フルバージョンはDVD&BDの売り上げに影響があると考えられているのだろう。ううむ。

だがしかし。

ボリュームを上げて観れば、やはりBABYMETALのあの東京ドームだ。

天空に白装束の三人が現れたと思ったとたん、三方の花道に十字架に磔になったSU-、YUI、MOAが現れる。フェイクスタートはもはや様式美となっている。

「BABYMETAL DEATH」はやはり最強である。一瞬にして三人が異世界から降臨し、5万5千人が入った東京ドームを「DEATH! DEATH!」の熱狂のるつぼにしてしまう。

4.「メタ太郎」のシンガロング。当日やLV、YouTubeのファンカムでは、反響音が大きかったが、今回はエコーが抑えられており、観客席の声はボリュームこそ抑えられているがしっかり聴こえる。今回わかったのは、実は「WOO…WOO…」と歌い始めたのは、SU-が「Singin!」と叫ぶ前からだったということ。3階席にいたぼくは、ここでシンガロングとは思わず、SU-に促されて歌い始めたのだ。また、同じキーで続くので、いつ半音上がるのか、と考えながら歌っていたのだが、SU-が「君に届いているか仲間の声 君の心のヒーロー呼び出せ」と歌うところで、半音上がっても観客は歌っていた。そういえばそうだったな。まあ、編集もあるだろうが、意外にスムーズにいっていたように聴こえる。

5万5千人がかたずをのんで聴き入った6.「紅月-アカツキ-」。こういう歌手が「実力」勝負になる紅白歌合戦に出ないのは・・・。もうやめましょう。

11.「ヘドバンギャー!!」。あのヘドバン地獄が鮮やかに蘇る。長かった。首と肩が痛かった。「重音部」タオルを振って土下座していたおじさんは、LVではスクリーン同様アップになっていたが、WOWOWではスクリーンに映っただけだった。

ちなみに、「メギツネ」と「ヘドバンギャー!!」と「ギミチョコ!!」のフルバージョンと、「KARATE」と「紅月-アカツキ-」のイントロは、7弦ギターで弾けるようになりました(^^♪

いわば「フェス」である紅白のYellow MonkeyやX-Japanとは比べられないが、単独ライブである「ゆく桃くる桃」と比べると、BABYMETALはやはり非常にシンプルなメタル・ライブバンドなのだということがよくわかった。

音圧、演奏力、歌唱のピッチの正確さと表現力、Kawaiiでありながらド迫力のダンス。

MCなしのドラマティックな「紙芝居」、大がかりな舞台装置。パイロとコルセットの光。やはりテレビ・サイズには収まらない。圧倒的なメタル・ライブ・アーティストなのだ。

だが、2013年までは、テレビに出て笑いを振りまいていたのもまたBABYMETALである。テレビ埼玉の「Hot Wave」が懐かしいし、今年4月のMステで、ゆいちゃんがタモリに「おかしをいっぱいもらいました」と言っていたのも、もう懐かしい。方針次第だが、もうちょっと露出してもいいのになあ。

それよりなにより、MCZみたいに、早くツアースケジュールを発表してほしい。

それがないと、ぼくらメイトは、年が明けないのだよ。ねえ。