UKツアーでの煽りの進化 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

今回のレッチリサポートツアーでの煽りの進化を記録しておきたい。(セトリ順)

 

●META!メタ太郎(マンチェスター2曲目)

東京ドームで新開発された「メタ太郎」の煽り。

さすがにレッチリツアーとは無縁と思っていたが、マンチェスターで炸裂。

「BMD」に続く2曲目は、ロンドン、グラスゴー、バーミンガム初日までは「あわ玉フィーバー」、バーミンガム2日目は「ド・キ・ド・キ☆モーニング」に代わって感動したものだが、マンチェスターでは意表を突いた「メタ太郎」。もちろん合いの手が入るわけではないが、「めーたーたろー、めーたーたろー、Together boys and girl」が聞き取れたのか、けっこういい反応になる。1番が終わると、煽り。

SU-:We are so happy to be here in Manchester!(私たちここマンチェスターに来れてとっても幸せ!)

YUI:We want to hear you sing!(あなたたちが歌うのを聴きたい!※この部分は、FABMETALさんのご指摘により修正しました。)

MOA:Sing loudly with us , OK?(私たちと一緒に大きな声で歌ってね、いい?)

SU-:All right! Get ready to sing after me, OK?(よっしゃ!私の後について歌う用意はいい?)♪Woo woo woo woo woo woo woo woo, Sing it!

観客:♪Woo woo woo woo woo woo woo woo(×4)

4回目にバンドの音が大きくなって転調し、♪「君に聞こえているか仲間の声、君の心のヒーロー呼び出せ」というSU-の歌へつながる。観客は転調についてゆけず、何となく置き去り感がある。改善点としてはWoo woo woo woo woo woo woo woo のシンガロングを2回繰り返した後、半音あげて転調し、観客もそのキーで歌い続けられるようにすれば、SU-の歌が始まってからでも歌い続けられ、「君の心のヒーロー呼び出せー」のあとの「間」でシンガロングの達成感が出て、3番につなげられると思う。

 

●Catch Me If You Can(3曲目、最終日のみ2曲目)

「CMIYC」の煽りが開発されたのは、今年の欧州ツアー。1番の「赤い靴、履いちゃダメ、デンジャラスだもん」の後ブレイクとなり、SU-が「I want to see a big circle pit!」と言って、観客にサークルモッシュを命じ、YUI、MOAも手振りでサークルモッシュを指示、SU-はサディスティックに「Bigger! Bigger!」と煽り、観客がこれに応えてぎゅうぎゅう詰めのピットで必死にサークルを作りぐるぐる回り始めると、SU-はそれを眺めてニヤリとした後、あっけらかんと無視して「Woo woo」と歌いだすという“放置プレイ”だった。

今回は、野外フェスでも単独ライブでもないが、ロンドンThe O2の2日目から、3曲目に位置するこの曲でも煽りを入れるようになった。

SU-:We are so happy to be back in London! London is our second home!(私たちはロンドンに戻って来られて、とっても幸せです。ロンドンは私たちの第二の故郷です!)あるいは、We are so happy to be in Birmingham! This is our first time here.(バーミンガムに来れて、私たちとっても幸せです。今回初めてここに来ました!)

YUI:We love London so much!(私たち、ロンドン大好き!)あるいは、Birmingham, such a beautiful place!(バーミンガム、なんてきれいな場所なの!)

MOA:I’m so--- happy to be here! How about you?(ここに来られてとーっても幸せ!みんなはどう?)あるいは、We love Birmingham! How about you?(私たち、バーミンガムが大好き!みんなはどう?)

SU-:We want to have a blazing/ an amazing time with you more! Get ready to sing after me OK?(私たち、燃えるような/素敵な時間をあなたたちともっと持ちたいの!私について歌って、OK?)会場によってBlazingとAmazingが変わっていたようだ。

SU-:WOWOW、Sing it!(ウォーウウォー、歌って)

YUI、MOA&観客:WOWOW(ウォーウウォー)

SU-:WOWOW、Sing it!(ウォーウウォー、歌って)

YUI、MOA&観客:WOWOW(ウォーウウォー×4)

SU-:Your sing is good job!(あなたたちの歌、よくやったわね!)

YUI&MOA:3、2、1!

SU-:♪WOWOWWOW、ぐるぐるかくれんぼ…

初日の観客のクールな反応から、ライブバンドとして、もっと観客とのコミュニケーションをとり、盛り上げようという意図で、2日目はここから、「メギツネ」「KARATE」「ギミチョコ!!」と煽りの4連発となる。それが奏功し、グラスゴー、バーミンガムでは観客の反応はどんどん良くなっていった。「メタ太郎」が2曲目に来たマンチェスター以降は、この曲での煽りはなくなった。

見直してみると、ゆいちゃん、がんばってたね!

 

●KARATE(5曲目、最終日のみ4曲目)

おなじみ、5月の米国ツアーで開発された「KARATE」の煽りも、微妙に進化している。

SU-:How(‘s) your feeling, tonight? How(‘s) your feeling, Birmingham?(今夜の気分はどう?今夜の気分はどうなのよ、バーミングハム?)

Let us hear your voice. Put your hands in air!(あなたたちの声を聴かせて。手を空に挙げて!)

(アドリブハミング)♪Wow…Wow wow wow wow…Yeah Yeah…

この部分は、ロンドン、グラスゴーでは、貫禄さえ感じさせる落ち着いたメロディラインだったが、バーミンガムあたりから2小節目を上げ、そこからブルーノートを入れて下降してきて最後は「Yeah Yeah…」で終わるパンチのきいたものになった。まだちょっと完成度は低いけどね。

そのあとも微妙に進化した。

SU-:Wow wow wow…, Your turn!(ウォーウォーウォー…あなたたちの番よ)

YUI、MOA&観客:Wow wow wow…(×2)

SU-:Wow wow wow…, All together! (ウォーウォーウォー…みんな一緒に)

YUI、MOA&観客:Wow wow wow…(×2)

SU-:♪セイヤソイヤ戦うんだ、Everybody, Jump!

これまでは、観客にマイクを向けるだけだったこの曲で、「Your turn!」「All together!」といった促しの言葉を入れることで、クールな観客席がシンガロングに参加していく。そして、オクターブ高いテンションで「Everybody Jump!」とやられると、どんなにクールな客でもジャンプせざるを得ない。

Birminghamのirの発音、Turnのurの発音、Togetherのtherの発音。いずれもお見事。

 

●ギミチョコ!!(6曲目、最終日のみ5曲目)

BABYMETALの代名詞である「ギミチョコ!!」。

2014年のロンドン単独公演(The Forum、02アカデミーブリクストン)から、すでに「ギミチョコ!!」の煽りはあり、「C!I!O!チョコレート、チョコレート」の部分をシンガロングさせるというものだった。それが、今年のアメリカデトロイト、シカゴから、YUIとMOAがチョコレートのクッションを持って登場し、SU-が「Push it back! And sit Down!」「When I count of 3,everybody jump up with us, OK?」という敗戦後の日本での米兵を彷彿させる煽りになる。欧州ツアー以降はこれが封印され「ギミチョコ!!」の煽りはなくなっていた。

それが今回また、微妙に違う形で復活したのである。

(ソロ時)

SU-:Hey guys! Clap your hands!(みんな!手をたたいて!)

(ブレイク時)

SU-:Are you all enjoy your sounds?(みんな、音を楽しんでる?)

We have big thank for the Red Hot Chili Peppers!(私たち、本当にレッチリさんには感謝してるわ!)For support them more, let’s get party started with us!(彼らをサポートしてもっと盛り上げるために、私たちと一緒にパーティを始めましょう!)

YUI:Do you like Chocolate?(チョコレートは好き?)

MOA:I can’t hear you!(聞こえないよー。)

SU-:Do you like Chocolate?(チョコレートは好き?)

Get ready to sing Chocolate with us!(私たちと一緒に、チョコレートを歌う準備をして!)

It’s very simple words! Don’t miss it!(とっても簡単な言葉だから、聞き逃さないでね)

♪Give me my Chocolate, chocolate chocolay… sing it!(ギミマイチョコレートチョコレートチョコレー…歌って!)

ロンドン2日目までは、「C!I!Oチェケラ」の部分がなく、「チョコレートチョコレート」だけだったが、グラスゴー以降は「Give me my」を入れるようにし、ベースのBOH神がメロディを弾くようになった。

SU-:Give me my Chocolate, chocolate chocolay… sing it!(ギミーマイチョコレートチョコレートチョコレー、歌って!)

SU-:Louder! Give me my Chocolate, chocolate chocolay(もっと大きく!ギミーマイチョコレートチョコレートチョコレー…

YUI、MOA:Sing it!(歌って!)

SU-:One more! Give me my Chocolate, chocolate chocolay…(もう1回!ギミーマイチョコレートチョコレートチョコレー…)

YUI、MOA:Thank you!(ありがとう!)

 

「メギツネ」の煽りは、今年のRising Sun Rock Festival仕様で、ベテランの風格さえ感じさせる出来だった。変更はなかったので割愛する。

で、ふと気づいたのが、ツアーを重ねるうちに、セトリにおける煽りのタイミングが徐々に早くなっていき、最終日は1曲目から煽りまくっていたのだという事実。

12月5日、ロンドンThe O2は、煽りが始まったのが4曲目の「メギツネ」から。その後、5.KARATE、6.ギミチョコのすべてで煽りがあり、7.イジメ、ダメ、ゼッタイは「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rから、「3,2,1」でフィニッシュ。

12月6日ロンドンThe O2から12月11日のバーミンガムGENTING ARENAまでは、3曲目の「Catch Me If You Can」から煽りが始まる。その後、4.メギツネ、5.KARATE、でも煽りがあり、6.ギミチョコで「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rからフィニッシュ。

12月14日、15日のマンチェスターアリーナは、2曲目の「META!メタ太郎」から煽りが始まり、3.Catch Me If You Canでは煽りは封印。4.メギツネ、5.KARATE、6.ギミチョコのすべてで煽りがあり、「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rでフィニッシュ。

そして12月18日、最終日のロンドンThe O2は、1曲目から「Road of Resistance」で、バンドストップはなかったが、SU-の「Singin!」から「Woo woo woo woo…」のシンガロングがあった。2.Catch Me If You Canは煽りがなく、3.メギツネ、4.KARATE、5.ギミチョコで煽りがあったが、フィニッシュせずに暗転。明転後、チャドMEATAL登場の6曲目はPainkiller/Breaking the Lawで、SU-のバースデーサプライズ。「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rはなかった。

重い音、ハードな演奏とパフォーマンスを見れば、BABYMETALがJ-POPグループではなく、メタルバンドなのだということはわかるはず。だが、それすらも理解できない観客には、煽って声を出させたり、体を動かせたりすることで初めて「ロックバンドなんだ」と認識させないといけないということか。

だが、考えてみれば、純正メタルバンドといえるMETALLICAは、音に重みがあるので自然にヘドバンが出てしまうのであって、ほかのメタルバンドでも、シンガロングは自然発生的だ。ほとんどすべての曲に決まったC&RがあるBABYMETALの煽りは、実は、アイドルの合いの手の延長なのだ。アイドルのライブでは、観客は観る/聴くだけではなく、参加を促される。「私たちと一緒に歌って踊って!嫌なことは忘れて、楽しいでしょ?」というわけである。

このあたり、ちょっと危険水域だが、ぼくは何度も言うように「アイドルとメタルの融合」だからこそBABYMETALは世界に進出できたのだし、女の子が楽器を演奏する、いわゆる嬢メタルとは一線を画すプロダクトなのだと思っている。これについては、次回、もう少し違う視点から見直してみたい。

(つづく)