Download大勝利! | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

―May the FOX GOD be with You―
★今日のベビメタ
本日6月10日は、2012年、初めて雑誌にBABYMETALの記事が掲載(「MARQUEE」)され、2016年にはDownload Festival UK フェスに出演した日DEATH。

2016年とは1日ずれたが、BABYMETALは今年2018年もイギリス最大級のロックフェスDownloadに出演し、大観衆の喝采を浴びた。いや喝采なんてもんじゃなく、とんでもない数のクラウドサーフと、巨大サークルピットの渦が発生する大勝利となった。
午前10:00、20Km離れた国立公園キャンプサイトから現地に到着。昨日とは比べものにならないほどの車の列で、駐車できたと思ったら、そこからエントランスまで20分かけてたどり着いた。
今日は、セカンドステージに張り付きということをRichardとお兄さんに伝えてあったので、Downloadドッグのところでお二人と別れ、最初のバンドから、最前列へ進んだ。POWERFLOは、黒人ボーカルを擁して、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンのようなラップ+メタルサウンドというニューメタルのバンドで、オープニングということで気合が入りまくっていた。
続く、Von Heartzen Brothersは、兄弟を中心にしたおじさnバンドだが、年季の入ったハードロックバンドという趣で楽しめた。
この入れ替わりで、最前列に隙ができたため、最前列に突撃。そこには、フランス人とハンガリー人のそれぞれ2人組がいて、ベビメタTを着ていたため、「Hey Guys!」と肩を叩いて話しかけ、友だちになって、最前列に入れてもらった。
実は、昨日からあまりに寒いので、持参した山田酒造の最愛半纏を着ていたのだ。これが実に便利で、イギリス人、フランス人の日本ファン、しかも女性から何度声をかけられ、ツーショットを撮られたことか。
だもんで、自己紹介をし、経歴を話し、半纏の話をすると、すぐに打ち解けてくれるのだ。
向こうはユトレヒト2日間が、初ギグという新参さん。それをいいことに、なぜ歌詞がわからないのに惹かれるのかとか、広島はどうだったとか、東京ドームはどうだったとか、いろいろ話した。
次のLawn Mower Deathについて「どんなバンドかねー」とか話していると、イギリス人のお姉さんが、「イギリスで一番Sillyなバンドよん」とゲラゲラ笑いながら教えてくれた。
その言葉にたがわず、Lawn Mower Deathは、一座のリーダーのひげもじゃボーカリスト、ギター三人、ベース、ドラム各1、そのほか、ピエロ、ウサギ、清掃人、羊、何もしていないで舞台で座っているオジサンなど、何人メンバーがいるかわからない、抱腹絶倒のコミックバンドだった。楽しい楽しい。
次のCorrosion of Confirmityからガラリと雰囲気が変わる。音量が上がり、メタルになった。全員黒づくめで、これぞメタル!という感じ。ええぞええぞ!
そして、今日最初の盛り上がりは、次のBury Tomorrowで起こった。
やはりデスメタル&スラッシュメタルのバンドだが、速いテンポでボーカリストが煽ると、ぼくのすぐ背後で高速サークルピットが発生し、ものすごい圧縮がかかる。
下手側でも起こっていたらしく、曲が変わるたびに最前列にいる人たちの顔が歪むのが見える。さらにギグの後半になると、次から次へとサーフが発生し、途切れることがない。
とんでもない数の人間がぼくの頭の上を通っていく。背後と頭上を注意しているうちに終了。終了してもまだ送られてくる。こんなのは初めてですね。
しかし、次のL7で、観客は冷え切ってしまった。おそらく20年前ならセクシーなガールズバンドだったのだろう。しかし、今日出てきたのは、体形も崩れ、色とりどりの髪に、パンク風の濃いメイクをしたオバサンたちで、あまつさえ一人は右手を骨折してピンクのコルセットをしているという始末。演奏も、カワイそうになるくらいのレベルだった。正直言って、あれでDownloadに出られるのかという怒りさえ涌いてきた。もし、BABYMETALと同じ日のステージに出ることになんらかの「意味」を主催者が抱いたのだとしたら、大間違いだ。
次のAsking Alexandriaは、大人気のバンドのようで、ぼくら最前列にいるベビメタファンに、後ろにいる女の子たちが、「あなたち、ベビメタのファンでしょ。私たちAAのファンなんだけど」と言ってきたので、席を変わることにした。
やはり、ラップ+へヴィメタルという感じだが、Bury Tomorrowほどのへヴィさはなく、なんとなくチャラい。女の子たちが夢中になっている分だけ、こっちのほうが人気があり、ジャンプ、サーフもくるのだが、なんとなく、甘い。
このへん、微妙な差が感じられるのが、ライブのだいご味ですね。
AAが終わり、最前列に復帰。
スタッフの作業が始まる。
バックドロップが上がり、ステージ前のシーリングには、2種類の紗幕がかかる。ちょっとよむと「…DOM2019」の文字。これは、最後にBABYMETALの2019年イギリスツアーの告知があるのか、とぼくらは色めき立ったが、最初にいっておくとこれは他のバンドのものだった。てへ。
作業中、KOBAMETALが下手奥から出てきて、客席の写真を撮っているので、思いっきりキツネサインをした。


開演数分前、BGMを観客が歌う。「BABYMETAL!」の声もかかる。
振り返ると、セカンドステージの前の空間はギューギュー詰め。開演前なのに、サーフのために係員が緊張した面持ちで構える。
そして…。
「Light and Darkness…」から低い男の声で「紙芝居」が始まる。
スクリーンは両サイドにあり、中央はステージ。「紙芝居」の途中で下手MINAKO神、上手MINAMI神、SU-、MOAの順で、BABYMETALが出てくる。大歓声。


Djentなギターリフが響き、ドラムスが加わる。
1曲目「In the Name of」である。
音圧は今日一。
それにしても、間近で生で見るSU-、MOAのなんと美しいことか。被り物を被っているから目しか見えない。野外仕様のため、赤い縁取りもある。だが、その目のなんと鋭く、なんと澄み切っていることか。
昨日を含めて、すべてのアーティストの中で、一番美しい。その目が、錫杖を持ったまま、直接指で、観客席をぐるりと指さしていくのだ。一瞬にして、観客は魔法をかけられる。
大げさではなく、ほんとにそうなのだ。
MOAも美しい。というか、もう神々しい。両脇のダンスの女神も体は大柄で、濃い化粧を施しているが、やはり美しい。何度も言うが4人は、すべての出演アーティストの中で、ダントツに美しいのだ。
うわーと思っていると、「♪きーつーねー、きーつーねー…」というSE。
続いて、バンドが入り、2曲目「メギツネ」が始まる。
何度この曲を聴いたか、自分で弾いたか、ライブで見たか、数えきれない。
だが、今日の「メギツネ」が最高だった。
最初の「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」から、観客は踊り狂った。数万人の大観衆が、地滑りのように動くのだ。
その迫力に、SU-が歯を見せて笑っている。MOAも笑っている。ダンスの女神も微笑んでいる。大村神は藤岡神のギターを抱え、藤岡神のポジションで、髪を振り乱し、ベロを出して弾きまくっている。BOH神は2曲目というのに、腰をおとしてジャンプしている。青山神も表情をつけて叩いている。ISAO神も気迫あふれる顔でピックに魂を込める。
2曲目から、とんでもない熱量が客席とステージの間から放出されている。
「Hey! Download! Are you ready to jump? Are you ready? 1,2,1,2,3 Jump!」
ぼくは、みんな笑っているこの瞬間に、胸がぎゅーっと締めつけられて泣いてしまった。
最前列で、「メギツネ」で泣いたのは、初めてだよ。
よかった。
BABYMETALは生きている。
Dark Sideもヘッタクレもあるもんか。4人も、神バンドのメンバーも、とんでもない数のロックファン、メタルファンが集まるお祭り、Downloadを思いっきり楽しんでいる。
Downloadの観客も、BABYMETALを楽しんでいる。これでいいのだ。
(つづく)