同志きゃりーぱみゅぱみゅ | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

―May the FOX GOD be with You―
★今日のベビメタ
本日5月25日は、2012年、ネット番組「Otaku-Verse Zero」で、BABYMETAL初の英語インタビューが配信され、2015年には、日テレ「Zip」で海外での活動が報道された日DEATH。

BABYMETALのUSツアーが終了すると同時に、きゃりーぱみゅぱみゅ(以下KPP)の2018年ワールドツアー「The Spooky OBAKEYASHIKI」がスタートした。


日本のお化け屋敷をテーマにした東京でのハロウィーン公演をそのまま世界へ持っていくというツアーで、日本時間5月21日8:40過ぎに、ロンドンの中心街カムデンにあるライブハウスKOKOで、満員の観客が「Candy Candy」の曲中、熱狂的に手を振っている動画がアップされた。
スケジュールは以下のとおり。
●きゃりーぱみゅぱみゅ「The Spooky OBAKEYASHIKI」ツアー
5月20日 イギリス・ロンドン(カムデン)KOKO(収容1410)
5月22日 ドイツ・ベルリンColumbia Theatre(収容800)
5月23日 ドイツ・ケルンDie Kantine(収容不明)
6月18日 米国・ニューヨークPlaystation Theater(収容2100)
6月20日 米国・サンフランシスコThe Regency Ballroom(収容1400)
6月22日 米国・ロサンゼルス(ハリウッド)The Fonda Theatre(収容1200)
7月28日 中国・上海National Exhibition and Convention Center Arena(収容10,000)
ロンドン、ベルリン、ケルンといえばメイトにはおなじみのルートだし、アメリカでの各会場はBABYMETALが2014年~2016年にライブで使ったところである。

上海NECC Arenaはデカい。幕張メッセのように区切って縮めるのか、それとも本当にこれだけ入るのか。
2011年7月にYouTubeにアップされたMV「PONPONPON」は、現在までに1億3000万回以上視聴されている。(2014年2月アップの「ギミチョコ!!」は8800万回)
ぼくは、KPPこそ、3次元のKawaii日本人アーティストの価値を全世界に広めた先駆者であり、KPPなくしてBABYMETALの成功はなかったと考えていて、このブログでもたびたび言及してきた。
「ファッションとアイドルの融合」をテーマとするKPPの音楽性はテクノポップであり、YMO以来の欧米人の日本人に対するテクノオリエンタリズムの視線に応えたものだが、それを表参道/裏原宿風の奇抜なファッション性と結びつけ、Kawaiiという価値観を訴求した。欧米人の常識から見て、KPPはいくつものユニークネスを備えた世界に冠たるMade in Japanのポップ・アーティストなのだ。
KPPの音楽プロデューサー中田ヤスタカは、Perfumeのメジャーデビューに当たって、MIKIKO師とともにレトロテクノから近未来的テクノへのマイナーチェンジを指導した。Perfumeを介して、KPPとBABYMETALは従妹のような関係にある。
2013年にスタートしたKPPのワールドツアーは、ベルギー、フランス、イギリス、台湾、香港、LA、NY、シンガポールを回る本格的なものであり、これも翌年2014年にスタートするBABYMETALのワールドツアーのお手本である。その意味でもKPPはBABYMETALの先輩に当たる。
だから2016年4月のミュージックステーションで共演した時、ネットで「BABYMETALは、欅坂にも、きゃりーぱみゅぱみゅにも勝った」的な書き込みを見た時には、ちょっと違和感を覚えた。
KPPはBABYMETALの先輩であり、日本の「アイドル」の枠に収まらない、海外で活躍する日本人アーティスト=Japanese Invasionの同志である。
BABYMETALの海外での活躍も、KPPの海外ツアーの様子も、日本のマスメディアはほとんど報じない。だが、これは現在、日本の音楽界、芸能界で現実に起こっていることである。
Band-Maid、LOVEBITES、PASSCODEなど、嬢メタルあるいはラウド系アイドルや、Crossfaith、One Ok Rockなどの若手ロックバンド、さらには鈴木政行(D)の脳梗塞による入院という事態にも関わらず、ニューアルバム『Rise to Glory-8118-』を引っ提げて、7月にヨーロッパツアーをリスタートする御大LOUDNESSを含め、ぼくらは日本人アーティストが欧米の音楽市場で勝負している現在進行形の歴史的な事態をちゃんと把握し、評価しなければならない。


ちなみに、2016年4月のMステでBABYMETALと共演した欅坂46の現状については複雑な心境である。平手友梨奈のことだ。
欅坂46は、2016年4月のデビュー以来、すべてのシングルがオリコン1位になり、紅白歌合戦にも2年連続出場し、今や乃木坂46と並ぶトップアイドルとなった。
だが、初期設定の「シリアスな反抗少女」のコンセプトを体現する存在として、最年少でありながら不動のセンターを任されていた平手友梨奈は、昨年のTIFあたりから、ライブ中に顔を隠してしまう、途中でハケてしまうなど、様子がおかしくなった。
今年1月30日~2月1日に予定されていた日本武道館3日間公演は、平手友梨奈の「上腕三頭筋」負傷欠場により、すべてアンダーチーム「けやき坂46」(ひらがなけやき)が務め、大成功を収めた。

冠番組への出演も数えるほどだったひらがなけやきは、本体の欅坂46(漢字欅)に先行して全国のZeppでアンダーライブを行い、パフォーマンスを磨いてきた。ガッツを前面に出すメンバーも多い。今年4月には漢字欅とは別の冠番組も始まり、6月には単独ファーストアルバムも発売される。
平手友梨奈は、今年に入ってからは、シングル曲のセンターでありながら、ライブにも、冠番組にも出ず、映画撮影のため長期離脱中である。
『Rockin’ On』2017年12月号別冊のロングインタビュー(10月収録)では、彼女が「表現ができない」という言葉で、メンバーに初めて本音を言ったことが告白されている。日本武道館ライブ欠場-離脱はそれ以降のことだから、問題は今もなお続いているのだろう。
才能があり生真面目な彼女は「表現がしたい」のに、欅坂ではそれができない。ぼくにはそう読める。
「反抗少女」という初期設定とバラエティ路線は水と油である。

冠番組「欅って書けない?」(テレビ東京系)は、はっきり言って、大成功した乃木坂46の「乃木坂ってどこ~乃木坂工事中」(同)の劣化コピーである。
路線のブレが平手友梨奈の「表現ができない」という発言の遠因だとしたら、それは、コンセプトを掲げたプロデューサーが、真正面から向き合わねばならない問題ではないのか。
現在欅坂46や乃木坂46には、「文春砲」(ああ嫌な言葉だ)の恋愛スキャンダルに揺れるメンバーもいる。
だが、ぼくは何度も言うように、タレント、アーティスト、ミュージシャンのプライベートのことはどうでもよい。「人格」が悪くても「芸」がよければそれでよい。
仮に、ジェフ・ベック(G)がタル・ウィッケンフェルド(B)と老いらくの恋に落ちたとして、誰が問題にする?
自殺した芥川龍之介の名前を冠した文学賞が、未だに最も権威があるのはなぜだ?文春さんよ。
ぼくは、SU-やYUIやMOAに好きな男ができても、一向に構わない。むしろ大人の女性になってい自然なプロセスとして、心から祝福したい。失恋して傷ついても、シングルマザーになっても、それを糧にして、より高い表現力を身につけてくれることの方がよほど重要だ。それがアーティストというものだろう。
だが、増殖する多人数の「アイドル」とは、プロデューサーがメンバー固定によるリスクを負わず、テレビ・バラエティ番組をベースに、「芸」ではなく、疑似恋愛対象の「人格」を消費するしくみだ。スキャンダルはたちまち視聴率が上がる打ち出の小づちだ。ああ、クダラナイ。
それだけに、平手友梨奈を不動のセンターに固定し続ける欅坂46は、リスクをとったのだと思っていた。
メンバー固定はリスクが高い。

私立恵比寿中学は、8人→7人→6人組になり、ももクロは6人→5人→4人組になった。

BABYMETALは3人→現在1人欠場中。KPPはピン。偉い!
「アイドル」出身でありながら、アーティストとしてのユニークネスにこだわり、「ライブにこそ答えがある」という方針に基づいて過酷なレッスンに耐え、ダンスや歌唱力を磨き、正当な評価を求めて海外でのライブツアーに挑戦する。
その意味でも、KPPはPerfumeと並んでBABYMETALのお手本なのだ。
もちろん、KPPやPerfumeは、冠番組を持っていたこともあり、BABYMETALのようにテレビから意識的に距離をとってはいない。「アイドル」として呼ばれれば喜んで出演するスタンスだ。だが、そこにべったり浸っていては使い捨てられることもよくわかっているだろう。
邪悪なプロデューサーが作った巨大勢力「アイドル」という世界もまた、Bad Dreamに過ぎない。
「お化け屋敷」=日本的Kawaiiゾンビの世界観を「表現」の域にまで高め、欧米市場で勝負するKPPワールドツアーの成功を祈る。