とりあえずの中間総括(2) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

―May the FOX GOD be with You―
★今日のベビメタ
本日5月23日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

●ダンスの女神
今回のツアーが大成功した大きな要因は、2人のダンスの女神が卓越した技量を持ったプロだったことである。神バンドメンバー同様、正体は決して本人から明かされることはないが、下手=ELEVENPLAY所属の丸山未那子氏、上手=JAC所属のアクション女優佃井皆美氏でほぼ確定だろう。
YUI欠場が確定し、「Dark Side物語」の骨格が決まった段階でアミューズ、KOBAMETAL、MIKIKO師に招集されたであろう彼女たちは、BABYMETAL神話においては、ギターの神、ベースの神、ドラムの神と同じように、苦境にあるBABYMETALに力を与えるべく、キツネ様に召喚されたダンスの女神であり、正規メンバーとはアナウンスされていないので、○○-METALと呼ぶより、○○神と呼ぶのが相応しい。
筋肉姐さん、マッスルメタルと呼ぶ向きもあるが、当ブログでは、SU-、MOAと同じく女性なので、下の名前でMINAKO神、MINAMI神と呼ぶことにする。


BABYMETALの海外ツアーに帯同するのはダンサー/アクトレスとしてビッグチャンスではあるが、YUI欠場の矢面に立たされることを考えると、普通は二の足を踏む。彼女たちは、そこを厳しい条件を引き受け、全力で取り組み、見事アメリカ人観客の心をとらえ、大喝采を浴びた。
「メギツネ」「ギミチョコ!!」「KARATE」「Road of Resistance」といった曲は、三人組のBABYMETALのイメージが強い。そこを4人の一糸乱れぬフォーメーションに変え、時に両サイドステージの大きな動きで、時に舞台前面に出てMOAとともにド迫力のダンスを見せた。「KARATE」でキツネサインを掲げるシーンや、「ROR」で「♪心は一つ」と息を合わせるところは、Dark Sideを旅するBABYMETALが2人を加えてパワーアップしたことを印象付けた。
そしてなんといっても「紅月-アカツキ-」での殺陣。
ツインギターと同等の「メタル表現」としての美しく迫力ある殺陣は、ライブで観客から大歓声が涌くハイライトとなった。この曲は、Legend “I”以来、SU-が、Dark Sideに堕ちてしまったYUIとMOAを救うために立ち上がる曲であり、現在の状況にピッタリ合っている。だが、ともすればクサくなりがちなジャパメタの曲調であり、イギリス人、ドイツ人にはともかく、アメリカ人には今一つピンとこなかったかもしれない。
今回MINAKO神とMINAMI神が、すさまじい気迫の殺陣を生で見せたことによって、SU-の歌が一層引き立ち、この曲に悲劇的な物語のリアリティと、見世物としてのカッコよさが付け加わった。ここまで生でアクションできる女優はそうそう居ないので、ハリウッドからオファーが来てもおかしくない。
ヨーロッパツアーでどうなるのかはまだわからないが、少なくとも今回のUSツアーにおける2人の功績は大きい。心から感謝したい。ありがとうMINAKO神、MINAMI神。

●ISAO神
2015年11月15日に行われた「魔界忍法帖」は、ISAO、藤岡幹大、小林信一というMI講師仲間であり、当代きってのテクニシャンである3人のギタリストが、プロレスのリング上で行った凄絶なギターバトルだった。
https://www.youtube.com/watch?v=h08qb8Rqa00
小林信一神は、2013年7月21日に北海道いわみざわ公園で行われたJoin Aliveで、神バンドの一員となり、ISAO神は、「魔界」直後の2015年12月12日のThe Final Chapter of Trilogy@横浜アリーナの初日に登場して神バンドの一員となった。だからこのライブは神バンドギタリスト同志3人の共演ということになる。
ISAO神は、The Fadedというバンドのギタリストとしてロサンゼルスに4年間在住した経験もあり、帰国後は、8弦ギターを駆使し、ソロバンドやセッションライブを続けながら、MI講師陣のリーダー格として活躍してきた。
2018年4月23日に行われた藤岡幹大追悼ライブ「My Little God」では、仮バンドに加わり、故人のパートを、岡聡志とともに多彩なテクニックで弾きこなした。
今回のUSツアーの焦点のひとつは、藤岡神の代わりの新ギタリストをだれが務めるかということだった。最初期から神バンドのギタリストを務め、2014年のSonisphereにも出演したLeda神の起用は順当だったが、もうひとりのギタリストにISAO神を起用したのは最善策だったと思う。


新曲「Distortion」のイントロのハウリング音とドラムスの轟きの中、不穏なギターリフが響く。ディストーションのかかった音で、低音弦をミュートしつつ転調を重ねて速弾きするあの感じが、最新のメタル/ギター奏法のトレンドであるDjent(ジェント)である。
仮バンドのアルバム『仮音源』には、ISAO神をフィーチャーした「Djentleman」という曲がある。8弦ギターを駆使し、変拍子をものともせず弾きまくるISAO神のスタイルはDjentそのものである。
さまざまな様式のメタルをミックスしてきたBABYMEALにDjentを導入するのは大賛成であり、新しい神バンドソロとして、「魔界」のようなテクニカルギターバトルがあってもいい。
ただ、今回のセトリでは、神バンドソロがなく、各曲のリードギターパートは、ほぼ「書き譜」だったため、せっかくのISAO神のテクニックがアメリカ人観客に訴求できなかった。
「紅月-アカツキ-」のLeda神とのツインギターのパートは、ダンスの女神に観客の視線が集中してしまったが、一瞬たりとも気の抜けない難易度の高い構成のツインギターソロをよどみなく演奏する2人のギター神の技術はやはり凄い。
新曲のSU-ソロ「TATOO(仮)」の間奏部のリードギターは、ダブルストップのみの単純なものだが、ここでISAO神の8弦超絶アドリブソロを聴かせるわけにはいかないだろうか。ちょっと勿体ないと思う。
今回ISAO神は全体的に控えめで、神バンドとしてのクオリティをキープすることに徹してくれていたのだと思う。ありがとうISAO神。ヨーロッパツアーでは、テクニック全開にして、観客の心をわしづかみにしちゃってください。
(つづく)