ナッシュビル公演 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

―May the FOX GOD be with You―
★今日のベビメタ
本日5月19日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

テネシー州の州都ナッシュビルは、別名Music Cityと呼ばれ、カントリー&ウェスタン、ヒルビリー+ブルース=ロカビリー発祥の地であり、ブロードウェイの南は、毎年6月下旬にSummer NAMM(楽器フェア)が行われるミュージック・シティ・センターがあり、隣接してピアノの鍵盤を模したCountry Music Hall of Fame(カントリーミュージックの殿堂博物館)がある。
Guns ’N’ Rosesのスラッシュが弾いているレスポール、ブラックサバスのトミーアイオミの愛器SG、そして、オリジナルのフライングVを生産するギブソン本社と工場もここ、ナッシュビルにある。今月、ついに債務過多で経営破たんしちゃったけどね。
同じテネシー州の西端にあって、ギブソンの工場もあったメンフィスは、ミシシッピ川の水上運送により大都市シカゴとつながっていため、綿花畑で働いていた黒人の子孫の比率が高く(6割)、ブルース、ゴスペル、R&B、ジャズ、ソウルミュージックが盛んになった。
一方、ナッシュビルは白人比率が高く、ヒルビリー、カントリー色が強い。ヒルビリーと3コードのブルースが「融合」したのがロカビリーで、そこからロックンロール~ロック~メタルへと発展していくので、ナッシュビルはアメリカンミュージックのふるさとである。
チェット・アトキンス(ギタリスト)、リトル・リチャード(「のっぽのサリー」他、元祖ロックンロールスター)、パット・ブーン、クリス・クリストファーソン、シェリル・クロウ、ウィリー・ネルソン、ドリー・パートン、ドナ・サマーなど、大勢のカントリー~フォーク~ポップス系の出身歌手がいるが、ジミ・ヘンドリクス(G)、オールマンブラザース(デュアン、グレッグ)、ピーター・フランプトン(G)といったロックギタリストも輩出している。
会場Marathon Music Worksは市の中心となるブロードウェイのカントリーミュージックの殿堂からは、北西に1.7マイル(徒歩で約35分)の距離、落ち着いたクリントンストリートにある。


収容人数はオールスタンディング1,500人で、当然SOLDOUTしている。ハリウッドで昨年4,000人の単独ライブをやったのだから、もう少し大きな会場でも埋まったと思うが、考えてみれば今回のUSツアーで使った1500人~2500人クラスの会場は、日本でいえばZEPPと同じ。つまり、5大キツネ祭りに集まったTHE ONEと同じだけのファンベースが、アメリカに出来上がっているということだ。
2018年USツアー単独ライブ最終日、現地は雷雨。時間前に、スタッフが気を利かせて建物の中に入れてくれたようだ。だが入場は40分遅れ。推測できる理由としては、雷雨によるアルバイトスタッフの遅刻によるタイムテーブルの玉突き遅れでしょうな。
会場内は、昨日と同じく天井が低く、二階席もなく、工場か倉庫のような環境。横幅があるので、シャーロットより広く感じるが、やはりぎゅうぎゅう詰めは必然。
Skyharborが始まったのが現地時間20:40。その終演後セッティングのなんやかやがあって、ようやく21:40頃、「Metal Resistance Episode Ⅶ」の紙芝居がスタート。
<セットリスト>
1.In the Name of
2.Distortion
3.Elevator Girl(仮)
4.TATOO(仮、SU-ソロ)
5.GJ!(MOAソロ)
6.紅月-アカツキ-
7.メギツネ
8.ギミチョコ!!
9.KARATE
10.Road of Resistance
11.THE ONE(Unfinished Ver.)
ギター(下手Leda、上手ISAO)ベース(BOH)ドラムス(青山秀樹)
セットリストは、USツアー共通。
だが、オースティン、ヒューストンあたりから、会場の盛り上がり方が凄い。
「紙芝居」の最後「Now is the time for Metal Resistance Episode Ⅶ with BABYMETAL」で、紗幕が落ちた瞬間から大歓声が起こる。1曲目「In the Name of」は、異様なコスチュームをまとった4人が錫杖を動かすだけだが、観客は強烈な圧縮に耐えながら「ハイ!ハイ!」と合いの手を入れている。これから始まるBABYMETALの虚実皮膜のDark Sideメタル・ショーの幕開けを大歓迎しているのだ。
2曲目。ハウリング音の中、暗闇にドラム音とジェントな感じのギターソロが繰り返される。
そして「♪Wow Wow Wow Wow」というコーラスが響くと、大歓声。観客も「♪Wow Wow Wow Wow」と唱和する。イントロで、上手ダンサー、下手ダンサー、MOA、SU-の順にスポットライトが当たると、そのたびに観客の歓声は大きくなり、曲に入ると「♪Give up ! Give up!」「Stop the power」「Distortion!」と合いの手を入れ、「Wow Wow Wow Wow」をシンガロングする。合いの手決定。
2曲目、「Elevator girl」は、ポップな曲調なのに合いの手を入れるスキがない。それにしてもSU-の声は神々しいほどクリア。4人のダンスもピッタリ合い凄いシンクロ率だ。
3曲目SU-ソロの「TATOO」。SU-のゆらゆらダンスは日ごとに激しさを増してきた。後半には中央ステージを降り、舞台前面を上手、下手へと動きながら歌った。カッコいいぞ。
4曲目MOAソロ+ダンス女神2人の「GJ!」。MOAの声も澄み切っていてバンドサウンドの中でもよく通る。激しく踊りながら歌うのは相当ハードだが、その中でこれだけの正確なピッチとクリアな歌声を聴かせられるのは、やはりMOAがもうひとりの天才シンガーだからだ。
悲しい和風のオーケストラが響き、後半「紅月-アカツキ-」のテーマに変わる。ピアノのイントロに続いて「♪幾千もの~」と歌い出したSU-METALには後光が射す。痺れる。
間奏部。下手ダンサー女神の動きが速い。それに応えて上手女神の蹴りが高い。Leda、ISAOの両神ギターフレーズも今日はいつにもまして力強い。
殺陣の後半回転蹴りの応酬後、振付が変わり、最後までパンチ、キックを繰り出す殺陣になっている。
今日は、全員気合入りまくりである。
7曲目、「メギツネ」。
ブレイクで、SU-は「Hey, Nashville! How are you? I big thank you to Skyharbor work find out tour with us!」と言って深々とお辞儀をした。
今回は、BABYMETALが人気バンドの義務として、前座バンドを帯同する初めてのツアーだった。YUI不在、ダンスの女神加入、新ギタリスト、新曲4つという事態なのに、自分たちのことだけでなく、おじさんとはいえ、“新人”の前座バンドにも気を配っていたのだ。しかもこの礼儀正しさ!
SU-の英語はますます冴えわたっている。何度も言うが、海外でこれだけ堂々と、現地のファンを煽れる歌手が、男女年齢問わず、これまで日本の歌謡界にいただろうか。
お辞儀が終わると、SU-は「We wanna have an amazing time with you more! 」と叫ぶ。MOAは、舞台の下手、上手をぴょんぴょん飛んで動きながら、観客にキツネサインを振り、MOAスマイルを届けている。
「Are you ready to jump up? Are you ready? 1,2,1,2,3 jump!」
で、観客席は「ソレソレソレソレ」と熱狂のるつぼと化す。
今年は戌年で、キツネ様は手負いだ。だが、なんといってもBABYMETALの守護神であり、ダンスの女神2人を召喚し、アメリカ人観客を熱狂させ、ツアーを導いてきたのはキツネ様のおかげだ。
8曲目、「ギミチョコ!!」。舞台前面に3人が踊るド迫力、1番と2番で違う振付も定着した。Leda神による「ギミチョコ!!」のギターソロが、「BABYMETAL DEATH」のソロになっている!
これはご愛敬か、意図的か。ちょっと悩ましい。
9曲目「KARATE」。
「♪涙こぼれても立ち向かってゆこうぜ」「♪心折られても立ち向かってゆこうぜ」という歌詞が心に染みる。
倒れたMOAをSU-が助け起こし、それぞれ2人のダンサーを助け起こしで4人が肩を組んで前へ進もうとするシーン、握りこぶしをキツネサインに変えて掲げる最後のシーンには、現在のBABYMEALが置かれた状況を思うと、やはり泣ける。
だから10曲目「Road of Resistance」は、Dark Sideの荒野を旅するBABYMETALのアンセムであり、あらためて、Only One のBABYMETAL道の厳しさと、それに立ち向かう少女たちの気迫が伝わってくる。
ペリスコを見ていた人の中には、「なぜだろう。ダイレクトにエネルギーを感じる」「世界よ、見よ」「これがBABYMETALだ」とコメントした人がいた。会場を埋め尽くした観客は声を限りに「♪Wow Wow Wow Wow」と叫ぶ。それは、BABYMETALへの愛であり、BABYMETALの愛を共有する証しである。
11曲目「THE ONE」。eRaを思わせる重厚なラテン語の新作前奏に続き、「THE ONE」のテーマが鳴り響く。続いてピアノのアルペジオが静かに流れ、「♪No reason why…」とSU-が歌い始めると、観客も一緒に歌う。YUIとMOAの声の懐かしい陽だまりのようなコーラス。1番が終わると大歓声。
バックライトの光輪に照らされたSU-には「女神降臨」という言葉が相応しい。
バンドが入ると感動が全身を走る。ギターのメロディによる間奏部、MOAが2人のダンスの女神を率いて登場すると、曲はクライマックスに達する。「♪ララララー」と感情が一つになってシンガロングする光景は、見ているだけで、何度も何度も鳥肌が立つ。
紗幕が下り、「新しい伝説は今、始まったばかりだ」というセリフに続き、World Tour、Japan Tourのスケジュールが示され「A  NEW ERA will continue onto the next stage」というセリフとともに、最後の最後にBABYMETALのロゴが大写しになる。
終演は22:38頃。えーぶっくさん他のツイッターでわかるとおり、終演後もしばらく、「BABYMETALチャッチャッ、チャチャチャ」のコールが止まない。


Dark Side BABYMETALがアメリカ人観客に与えた衝撃と感動は、それほど強烈だったのである。
これで2018年USツアーの単独公演がすべて終了。
だが、旅はまだ続く。5月20日(日本時間5月21日)のオハイオ州コロンバス、数万人が待つRock on the Rangeのセカンドステージのヘッドライナーを務めるのだ。頑張れBABYMETAL。