途中経過 | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

―May the FOX GOD be with You―
★今日のベビメタ
本日5月16日は、2015年、米国・コロンバス@Crew Stadiumで行われたRock on the Range 2015に出演した日DEATH。

衝撃の5月8日から1週間にして、Dark Side BABYMETALの認知が進み、前回ヒューストンでは、歴戦の海外おまいつさんたちからも、「過去最高のライブ」との評価を得た。
そして、米国中部標準時5月15日20:00(日本時間5月16日10:00~)ジョージア州アトランタTabernacle Atlantaで、BABYMEYAL World Tour 5日目となるライブが行われる。
その模様は、例によってファンカム頼みのため、本日深夜にアップすることにして、とりあえずこれまでの経緯を少し整理しておく。
昨年12月2日‐3日に行われたLegend-S-洗礼の儀@広島グリーンアリーナ公演の初日、開演3時間前にYUIMETALの体調不良による欠場が公表された。THE ONEへのメールによると、医師と相談した結果とのことだったので、一時的な病気(インフルエンザなど)が原因と思われた。
年末には2018年のロックフェス出場が、フェス側から順次発表された。
しかし、年が明けた2018年1月8日、卓越した技量を持つ神バンドのギタリストとして、BABYMETALのライブを支えてきたLittle God藤岡幹大氏が、天体観測中の転落事故により急逝したことが発表された。
2月下旬、2018年のBABYMETALのUS TourおよびEurope Tourスケジュールが発表された。World Tourでは、YUIMETALの復帰により、不幸を乗り越えたBABYMETALの姿が期待された。
4月1日のFOX DAYに「THE CHOSEN SEVEN」のトレイラーが公表され、謎を呼んだが、一昨年のChosen One、昨年のChosen Fiveのように、一定の条件を満たすファンが選ばれるのだろうと考えられた。

4月23日、川崎CLUBCITTA'で、藤岡幹大追悼ライブ「My Little God」が行われ、神バンドメンバー、MI仲間、Rain bookなど生前交流のあったミュージシャン全員が揃い、ぼくらメイトも全員集合した。
ツアー開始前日の5月7日、突如、新曲「Distortion」MVのリリースとシングル配信が開始され、世界中のBABYMETALファンは狂喜乱舞した。
しかし、翌5月8日、USツアー初日のカンザスシティ公演では、YUIが引き続き欠場し、代わりに2人のキレッキレのダンサーが加わっていた。さらに、広島のオープニングに使われた「In the Name of」、前日配信され各国のメタルチャートで1位、2位を獲得した「Distortion」に加え、ハードコア・ロックンロール風の「Elevator Girl(仮)」、へヴィR&BのSU-ソロ「ゆらゆら(仮)」の4曲がドロップされるという驚きのセトリだった。


ギタリストは初期から神バンドの一員であるLeda神と、2015年の横アリ公演初日に参加したISAO神。

ダンサーはMIKIKO師の弟子であるELEVENPLAYのメンバーあるいはJAC所属のメンバーと見られた。
YUIの欠場とダンサーの追加に関して、運営が一切説明しないため、非難や批判が相次いだ。
だが、ライブではSU-の歌唱力、表現力が磨かれており、YUIの分まで一人で歌い踊るMOAの存在感、ダンサー2人が加わったBABYMETALの気迫のこもったパフォーマンスに、観客は強く惹きつけられ、YUI不在はそれとして、Dark Side BABYMETALのライブを熱狂的に支持していった。
例えば、「紅月-アカツキ-」。
この曲は、2012年のLegend "I"で、Dark Sideに堕ちたYUIとMOAを救い出すために、マントを翻して歌うメタルの女戦士SU-のテーマ曲だった。

前奏の新作オーケストラの日本風メロディは、藤岡氏が高校時代に毎年出ていた故郷の盆踊りを思わせる。そこには宇佐美秀文氏の思いがこもっている。
これまで2人のギタリストによるソロを聴かせる見せ場で、SU-は下手→上手の順で、ダンサーを指さす。それに応えてダンサーたちは、すさまじい気迫の回し蹴り、正拳突き、連続後ろ回し蹴りなど、空手の型を披露する。下手は藤岡神がいた場所。上手は大村神、Leda神の定位置。つまり、下手→上手というギターソロの順番を、忠実にダンサーに置き換えているのだ。
そして、2人のギタリストが背中合わせで美しいツインギターを奏でるところになると、2人のダンサーたちはがっちりと中央ステージで組み合い、迫力満点の殺陣を見せる。ここでアメリカ人の観衆は大喝采する。
この美しい殺陣、アメリカ人にとってのカンフーアクションは、もはや振付けの域を超えている。ツインギターソロと同じく、観客を魅了するひとつの「メタル表現」になっている。
アイドル+メタル+ダンス。アイドルとメタルは水と油。メタルとダンスも水と油。それを融合してしまったのがBABYMETALだ。
“メタルの神キツネ様“の神話は、アイドルの「設定」であり、メタルバンドのギミックでもある。と同時に、さくら学院からの歴史を知っているぼくらにとって、それは小学5年生と中学1年生だった生身の少女たちが、世界のトップバンドに上り詰める奇跡の成長物語である。
これがBABYMETALの本質であり、赤いチュチュから黒いコスチュームに、ツインテールからポニーテールへ、KawaiiメタルからKakkoiiメタルへの変貌は、正常進化なのだ。
藤岡神の急逝や、YUIの不在は確かにショッキングだし、運営から何ひとつコメントや説明がないことも批判されて当然である。
だが、それを無責任だとか、「思い」がこもっていないなどということはできない。
予想だにしなかった不幸で理不尽な運命に直面しながら、新曲を4曲も投入し、苦しい数か月間、どれだけSU-、MOA、2人のダンサーが過酷な練習をしてきたか、神バンドのメンバー、藤岡神の代わりを務めるISAO神や宇佐美神の思いがどれだけ強いか、そしてDark Side=The Chosen Sevenの物語を作ったKOBAMETAL、チームベビメタの思いがどれほどこもっているかは、ライブを見ればわかる。
「ギミチョコ!!」で、舞台前面にMOAを中心に3人のダンサーが踊るド迫力を見よ。
「KARATE」で、4人が握りこぶしをキツネサインに変えて高く掲げるシーンを見よ。
「Road of Resistance」の「♪心は一つ」を見よ。
「THE ONE」で、「♪We are THE ONE」と歌いながら、4人が両手で三角形をつくるシーンを見よ。


ツアー3日目、今年からBABYMETALのアメリカでもマネジメントを行う5Bの担当者が「YUIは今でもBABYMETALに在籍している」というコメントを出した。
YUIもまた、今は明かせない理由で、世界のどこかで孤独に戦っている。その不在は一時的なものだ。だからこそ、このピンチを、BABYMETALはDark SideのApocrypha(外典)の物語として、新しい姿を見せているのだ。
「紙芝居」はいう。
「Cannon(正典)があればApocrypha(外典)もある。Light Side(光)があればDark Side(闇)もある」。
ということは、その逆もまたある。ApocryphaがCannonに、闇が光に転じる日が必ず来る。
ライブの最後に、US TourとEurope Tourの日程に加え、10月にJapan Tourが行われることも告知される。そして、BABYMETALが「次の段階」に進むことが告げられ、このツアー中、一貫して使われている日蝕のモチーフに代わって、あの懐かしいBABYMETALロゴが大写しになるところでライブが終わる。
こうなったら、燃えるよね、逆に。
ネットに「なんだ、結局最高じゃないか」という感想が躍った前回、ヒューストン公演は、大勝利!という言葉がふさわしい最高のパフォーマンスだった。

ぼくらの声援がBABYMETALを力づけ、前へと進ませる。
そう、ぼくらもまた、Dark Sideを旅するBABYMETALのApocryphaにおける登場人物なのである。