好きすぎてツライ(14) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

♰THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA ♰

★今日のベビメタ

本日、4月23日は、2015年、The One 男性限定「黒ミサ」が行われた日DEATH。

なお、本日18:00より、川崎CLUBCITTA’にて、藤岡幹大氏追悼ライブ「My Little God」が開催されます。また、本日からMetal Resistance第7章が始まり、2018年度のTHE ONE会員登録が開始されます。

 

本日ぼくは、仕事を午前中で切り上げて川崎CLUBCITTA’へ行きます。

1300人の箱なので、チケットをとれなかった方も多いと思われますが、ぼくはなんとか入手できました。思えば2016年秋の楽器フェアで、BOH氏によるじゃんけん大会に勝ち、藤岡幹大氏と握手でき、サインをいただけたのが一生の財産となりました。

出演は大村バンド、仮バンド、USB、rain book他となっていますが、オールスタディングのため、早くから列に並ばれるファンの方も多いでしょう。

詳細なレポートは深夜になりますが、その間Twitterで状況をお伝えしたいと思います。

 

「紅月-アカツキ-」編つづき

●2014年3月1日の日本武道館巨大コルセット祭り「赤い夜」の「紅月-アカツキ-」は、もはや他の誰にも歌えない唯一無二のSU-METALのシグネチャー・チューンになった。

爆音の生演奏をバックにしているにもかかわらず、声は明らかに太くなり、表情に力強さが加わり、歌詞に込めた情感も十二分に感じられる。マントを翻すしぐさの大きさ、中空を見据える目の強さ、ひざまずいて「♪孤独も不安も斬りつける心まで今~」と訴えるときの悲壮感。いずれもドラマチックでダイナミック。

声が太くなり、しぐさが大きくなったのは、全国ロックフェスツアーでの過酷な「修行」の成果だろう。

そして、この曲は、2014年6月、海を渡る。アルバム『BABYMETAL』に収録されたから、海外でも入手すれば聴けたとは思うが、やはり初ヨーロッパツアーの単独ライブで初めて聴いたファンが多かっただろう。

もちろん日本語はわからないだろうし、わかったところで、少女が鎧のようなコスチュームにマントを羽織って歌うアニメみたいなシチュエーションが理解されるかどうかは未知数だった。そんなことをいえば、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」と「おねだり大作戦」と「4の歌」と「ギミチョコ!!!」と「メギツネ」と「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が混在しているBABYMETALがメタルとして認知されるかどうかさえ、危ぶまれたはずだ。

だがしかし。

「紅月-アカツキ-」は、SU-METALの歌唱力、表現力、神バンドのツインギターの速弾きとメロディラインの美しさは、欧米のメタルファンにも、このバンドの計り知れない可能性を感じさせたのだと思う。

ぼくのような中高年ファンは、どうしてもメタルバンドには、ラウドさや歌詞の過激さよりも、テクニカルな卓越性を求めてしまう。

その点、「BABYMETAL DEATH」のエクストリーム感&超絶ソロ、「Catch Me If You Can」の神バンドソロの凄みと並んで、「紅月-アカツキ-」のジャパニーズメタルとしての完成度の高さは、欧米のファンにもしっかりと伝わる。その技量の確かさが、BABYMETALが「Fusion of METAL & J-POP」「New Style of Heavy Metal」であるという説得力になってくる。

MVが大ヒットした「ギミチョコ!!」だけでは、毛色の変わったJ-POP、日本からヘンテコな女の子たちが現れたという一過性の関心、キャラクターとしての人気だけで終わっただろう。冷戦終結後のロシアから現れ、態度の悪さを売りにしたt.A.T.u.のように。

しかし、「紅月-アカツキ-」は、歌詞の意味はなんだかわからないが、SU-METALの飛びぬけた歌唱力と神バンドの卓越した演奏が生で聴ける楽曲であり、BABYMETALのメタルバンドとしての“品質保証”になった。

●ピアノまたはギターのアルペジオで、「♪幾千もの夜を超えて…」と歌い出し、バンドのイントロのリフが始まると、SU-は「アカツキだー」と叫び、大きな会場だとパイロの炎が上がる。これは、X-Japanの「紅」でTOSHIが「クレナイだー」と叫ぶことへの“オマージュ”である。「紅」を「べに」と誤読する奴がいるからというのだが、真偽は定かではない。

2012年10月6日のLegend“I”から、2013年6月30日のLegend”1999“まで、イントロが始まるとSU-はひざと肩でリズムをとり、イントロの終わりC#の高まりまで待って「♪瞳の奥に光る…」と歌い出していた。

2013年12月21日のLegend”1997“は、Unfinished Ver.だったからそもそもバンドが入らない。

いつからSU-はTOSHIのように「アカツキだー」と叫ぶようになったのか。

2014年3月1日、日本武道館「赤い夜」は、BLACK BABYMETALによる「おねだり大作戦」「4の歌」が2曲続いたあとに、SU-ソロの「紅月-アカツキ-」がセットされていた。

暗転からLegend“1997”と同じくピアノのイントロが響き、「♪幾千もの…」と歌い出す。またUnfinished Ver.かと思わせておいて、そこから神バンドのリフが入り、照明は真っ赤に染まる。そしてSU-が「アカツキだー!!」と叫ぶとパイロから炎が噴出する。

「アカツキだー」の初出はこの、日本武道館「赤い夜」なのである。

そもそも日本武道館2daysを「赤い夜」「黒い夜」と名づけたのは、X-Japanの1994年東京ドーム2Days「青い夜」「白い夜」への“オマージュ”である。だから、「紅月-アカツキ-」で、TOSHIのように「アカツキだー」と叫ぶようにしたのだろう。

「赤い夜」は、「紅月-アカツキ-」のあと「BABYMETAL DEATH」、そしてYUIが落下した「ヘドバンギャー」、暗闇でのYUIちゃんコールを経て、三人の絆と勝利を確信した感動の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」、ヘドバン養成コルセットの投げ捨てパフォーマンスで終了。

翌日3月2日「黒い夜」は、無事三人そろった「BABYMETAL DEATH」に始まり、「No Rain No Rainbow」のあとに「紅月-アカツキ-」がセットされていた。SU-ソロ2連発だ。青い照明の中で表現力豊かに歌われる「NRNR」の後、黒いマントを着たSU-が、そのままピアノのアルペジオで「♪幾千もの…」と歌い出し、バンドのリフが始まると「アカツキだー」と叫んで曲に入っていく。この雄たけびは、以降定番となり、曲名紹介のMCというより、セトリ上、静から動へ、BBMのコケティッシュな曲からSU-ソロのシリアスな曲へと展開していく狼煙のような役割を果たすことになった。

SU-の歌唱力、表現力が進化するのに従って、曲の演出も進化していったのである。

●2015年1月10日の新春キツネ祭り、6月21日の巨大天下一メタル武道会、12月12日のFinal Chapter of Trilogyと、2015年の大箱ライブ映像を今見ると、過酷なスケジュールのツアー、単独ライブを重ねるごとに、SU-METALの声はどんどん鍛えられて太くなり、表現力が力強さを増していったのがわかる。

2016年4月2日のLive at Wembleyは、日本でも大勢のメイトさんがリアルタイムでLive Viewingしていた。ビートルズやストーンズも立ったステージに、図らずも日本人初の出演アーティストとなったBABYMETAL。その大舞台に赤い月が出現し、黒いマントを着たSU-METALが客席中央の島舞台で「♪幾千もの…」と歌い出す。そして、「アカツキだー」と叫んで、中央の花道を全速力で駆け抜けると、パイロから炎が吹き上がる。その雄姿を見て、感動で泣き出してしまうメイトさんもいた。

日本語の通じない海外。ときに猛暑、極寒、酸素の薄い高地。単独ライブの合間に参加する大規模ロックフェス。

CDが売れない昨今、ロックバンドはライブ活動を中心に据えるしかないと評論家は簡単にいうが、屋内の単独ライブでは1時間強、猛暑となる野外のフェスライブで30分、全力で歌い踊るメタルダンスユニットがいかに過酷か。2015年には、YUIとMOAの体が急激に大きくなり、バランスを崩した時期もあったと、インタビューでMIKIKO師が答えていた。

リードボーカルのSU-METALは、BBMの曲以外のすべてを歌う。

KOBAMETALのルサンチマンに発し「この身体が滅びるまで、命が消えるまで守り続けていく」という「メタルへの愛」は、SU-METALの生身の戦いによって血肉化したのである。

(つづく)