ベビメタ嫌い(3) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日、4月3日は、2014年、YouTuber’s React to BABYMETALが公開された日DEATH。これで世界的知名度がアップし、海外進出の扉が大きく開きました。

 

第3類型 メタルは好きだけど、BABYMETALはアイドルだからキライという人

 

出ました。アンチの主流派、メタルエリートさんDEATHね。

2013年のLOUDPARK13へのBABYMEALの出演に抗議した人たち。

2014年にBABYMETALが海外に進出した際、BABYMETALはメタルじゃないと言って論陣を張ったメタルヘッズもこれである。

だが、2018年現在もなお、BABYMETALをメタルじゃないといって非難する人たちはごく少数になっている。

この数年の経緯を振り返ると、2013年のLOUDPARKでは、神バンドの演奏力や三人の激しいパフォーマンスに度肝を抜かれ、多くのメタルファンは、BABYMETALは正統派メタルじゃないけど、認めざるを得ないというふうに変わっていった。

また、海外では、「Kerrang!!」や「Metal Hammer」で、BABYMETALへの賛否両論があったが、SONISPHERE 2014に集まった6万人のメタルヘッズたちが、最後の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で大歓声を上げてBABYMETALを称賛して以降、メタルの新しいジャンルあるいはメタルの「入門編」として歓迎する論調が多くなった。

2015~2016年には数々の大物メタルバンドとのずっ友写真が公開され、中にはSNSでのBABYMETAL批判に対して、自ら擁護してくれるアーティストも現れた。

決定的なのは2016年のAPMAsで、メタルゴッド、ロブ・ハルフォードが「ここにメタルの未来がある」と言ったことや、2016年後半~2017年前半に、レッチリ、メタリカ、ガンズ、KORN、STONESOURといった大物バンドがBABYMETALを前座に取り立ててくれたことである。

ぼくの見るところ、メタラーの認識を改めさせたのには二つの要因があると思う。

一つは、「アイドル」であるという先入観を打ち砕く演奏力とパフォーマンス力。

LOUDPARK13のセットリストは以下の通り。

1.BABYMETAL DEATH

2.君とアニメが見たい

3.Catch me if you can

4.メギツネ

5.紅月-アカツキ-

6.ヘドバンギャー!!

7.イジメ、ダメ、ゼッタイ

神バンドは、藤岡幹大(G)、大村孝佳(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)という布陣だった。

2013年はまだ神バンドのメンバーが固定していなかった。

5月10日、17日、18日の「五月革命」では、Leda(G)、大村(G)、BOH(B)、青山(D)。

6月22日のタワレコミニライブ&アミューズ株主総会ライブでは、Leda(G)、大村(G)、BOH(B)、前田秋気(D)。

6月30日のLegend“1999 YUI&MOA聖誕祭”と、 7月15日のSUMMER CAMP 2013@川崎CLUB CITTA’では、Leda(G)、大村(G)、BOH(B)、青山(D)。

7月22日のJOIN ALIVE 2013@いわみざわではLeda(G)、小林信一(G)、BOH(B)、青山(D)。

8月10日、11日のサマソニでは、Leda(G)、大村(G)、BOH(B)、青山(D)。

9月22日のイナズマロックフェスでは、Leda(G)、BOH(B)、新たなギターの神として藤岡幹大、ドラムスには、昨年のレッチリUSツアーに同行したかどしゅんたろうが入る。

藤岡神とBOH神は、2017年ソウル公演を除いて、2014年以降すべての海外ツアーに参加した。青山神も海外ツアーを欠席したのは2017年レッチリUSツアーだけである。大村神も2014年11月以降は、BABYMETAL海外ツアーのすべてに参加している。

2013年のLOUDPARKには、2014年から始まる海外ツアーの固定メンバーといえる神々が揃ったのである。

ぼくも含めて、ハードロック~メタルファンの一定部分は、自ら楽器を演奏し、バンドをやっている。どのパートをとっても、神バンドの演奏力の卓越性は明らかだった。

バンドの肝はドラムスである。

例えばMETALLICAの肝はラーズ・ウルリッヒのわずかに後ろに重心がかかったドラムスである。

2017年1月のソウル公演。「NOW THAT WE'RE DEAD」は、ラーズの「♪ドンッ、ツッ、ドンドンツッ、ドコドコドコドコドコドコドコドコ…」というミドルテンポの強烈に重いドラミングが高尺スカイドームの空気を支配し、観客を熱狂の渦に巻き込んでいった。

青山秀樹神のドラミングは、対照的に、やや前ノリに聴こえる正確なリズムキープ、驚異的な速度のツインバスドラのブラストビート、手数の多いオカズ、そして何より叩きながら歌えるノリの良さが特徴だと思う。打ち込みで作られるBABYMETALの楽曲世界を忠実に表現しながら、ライブバンドとしてのBABYMETALの観客を熱狂させる。尋常なドラマーではない。

もちろん、ギターパートも尋常じゃない。

例えば、「BABYMETAL DEATH」の最初のリフは、全音半音下げにした7弦ギターの、7弦と6弦の開放弦とハイフレットを行ったり来たりするリフで、しかも表・裏にアクセントを置きながら、ときおりオカズを混ぜ、さらにピッキングハーモニクスを交えるという相当複雑なことを、一糸乱れぬタイミングでやらねば、ブルータルな「あの感じ」は出ない。

ギターソロは超速弾きで、半音進行のリディアンスケールを縦横無尽に繰り広げつつ、アームアップを交え、最後はバッハ音階で終わる。

ブルースの手癖をもとにしたリフや、常套的なネオクラ系のテクニックと違って、これは簡単にコピーできないのだ。

青山神のドラミングと同じく正確なリズムとライン取りの美しいBOH神のベースと相まって類い稀なアンサンブルを奏でる。ライブ演奏におけるこの技術と完成度は、2013年の日本および世界のロックシーンを見回してみてもズバ抜けており、それが「アイドル」とされた少女三人組のバックで現出したことは、驚愕すべきことだった。

開演前にBABYMETALに懐疑的だったLOUDPARKの観客の多くが、その意味を理解したのだと思う。

調べてみると、藤岡幹大をはじめ、神バンドメンバーの多くが音楽学校の先生だった。つまり、神バンドのメンバーは、ライブハウスで活動するバンドマンではなく、スタジオミュージシャンでもなく、そのプロを教える師匠レベルだった。

そして、神バンドでの活動以外の「世を忍ぶ仮の姿」は、いろんなバンドやアーティストを支えるサポートミュージシャンであり、メタルに限らず、フュージョン、ジェント、マスロック的な表現までできる万能の演奏家であることがわかった。

2014年のNY公演後の『ビルボード』では、「バックバンドが恐ろしいほど上手い」と評価された。このことが、BABYMETALがただの「アイドル」として否定できない大きな要素になったことは間違いない。

(つづく)