ベビメタ嫌い(2) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日、4月2日は、2013年、日テレ「スッキリ!」でBABYMETALが報道され、2016年には、日本人初のSEE Arena Wembley 公演が行われ、「The One」では、万国旗が振られ、日本のライブビューとつながる感動の光景が現出した日DEATH。

 

「キツネ様の新たなお告げ」が発布されましたね。今年はChosen Sevenというテーマらしいですが、現在発表になっているWORLD TOURとの関連はよくわからず、詳細は不明です。また、THE ONE限定の「LEGEND - S - BAPTISM XX - 」(BD1枚、CD2枚他スペシャルパッケージ)が¥22,222で発売されるとのこと。申込受付は4月23日~5月23日、発送は夏とのことです。

http://www.babymetal.jp/home/

 

METAL RESISTANCE第7章の日々の布教活動のヒントとなる「ベビメタ嫌い」の続き。

第2類型 洋楽は好きだけど、メタルはキライという人

若者にも、オジサン世代にもこういう人は多い。

音楽は好きだけど、生活を彩るファッション・アイテムだと思っていて、自分の心を震わすような感動は求めていない。もっと単純に言えば、デカい音が生理的にキライというかコワいのだが、それには深いワケがある。

この類型の人がもっとも厄介のように見えて、実はもっとも劇的にベビメタファンになる。とりわけ中高年になると、その度合いが大きくなる。

この類型の人は、音楽だけでなく、小説も映画も絵画も料理もスポーツも、一通りのことは知っているし、楽しみもする。だが、本気で一人の作家やアーティストにのめりこんだり、作品から自分の生き方を考え直してみたりしない。

ぼくにとっては、本でもCDでも展覧会でも高校野球でさえも、そこから「人間の真理」めいた何かを見出そうとしない方が難しい。作品やアーティストから学ぶというのは、その作品の成り立ちやアーティストの生き様と向き合い、今までの自分の知識や経験と対比させて考えることだから、怖さや不快感が常に伴う。だが、ダメ人生を歩んできたぼくには、これしか作品を「鑑賞」する方法はない。

洋楽は好きだけどメタルがキライという人たちは、おそらくぼくとは真逆に、真面目で、社会的に「正しい」と思われる生き方をしているのだろう。心理的に安定しているから、デカい音で脅かされるのは不快以外の何物でもない。衝撃的な芸術作品やスポーツ選手のミラクルショットごときで、自分の生き方が揺らぐことはないし、一人の作家やアーティストにのめり込むなどという愚を犯すことはない。

結果、彼らにとってあらゆる芸術作品は、支払った金額や時間に比して楽しめる「商品」かどうか、という観点で評価されることになる。それが趣味としての「音楽鑑賞」である。ちっとも悪いことではない。むしろ大人として、社会的に褒められるべき生き方だ。

しかし、ぼくが思うに、今、中高年でベビメタにのめり込んでいる人の多くが、かつて、こういう人たちであったのではないか。

学生時代は一通り音楽を聴いたけど、就職して仕事が忙しくなり、家庭も持つと、音楽に触れる機会は少なくなった。実用書以外の本は読まないし、映画やドラマは話題についていくために見る程度。時間とお金の分、感動はするけど、のめり込むことはない。

だから、スゴイスゴイといわれるBABYMETALは、ロクに聴きもせずに「オレ、そもそも馬鹿デカい音でコケオドシのへヴィメタルなんてキライだし、ロック史から言って、あんなのアミューズが作ったイロモノでしょ」的な意見を吐いて距離を置きたがる。

だが、ある日ベビメタに出会ってしまう。それはNHKの「BABYMETAL現象」かもしれないし、たまたま情報番組で、BABYMETALが海外で活躍しているというニュースを見たのかもしれない。

あるいは、ベビメタ嫌いを公言してから、こっそり家で確認してみたのかもしれない。

まずYouTubeを見てビックリする。なんじゃこりゃ!?と思って、速攻閉じる。

でも気になってCDを買ってみた。ライブDVD/BDを見てみた。そして…人生が変わるほどの衝撃を受けた。

メタルってこんな美しい、楽しいものだったのか。BABYMETALって、今まで出会った日本人アーティストの中で、一番凄いんじゃないか…。

もともと、こういう人たちは真面目で、正しい生き方をしようとする。のめり込んだらアブナイと思っていたということは、音楽が魔力を持つということを、無意識のうちに理解していたということだ。

「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけむ 遊ぶ子供の声きけば 我が身さえこそ動(ゆ)るがるれ」(『梁塵秘抄』359)

平安時代末期の1180年頃に、後白河法皇によって編纂された『梁塵秘抄』に収録されたこの歌は、遊女によって作られたとされる有名な今様だ。

今様とは、踊りながら歌われる歌謡曲のことで、『梁塵秘抄』とは、家の古い梁に積もったチリさえも浮き上がるほど、心が動く曲という意味だ。遊女といっても、必ずしも春をひさぐ女性というだけではなく、表芸は歌舞音曲、すなわちシンガーソングライターだった。この歌は、いわば当時の大ヒットソングであり、数万人が集まった伏見稲荷のお祭り=フェスでも演奏されたはずだ。

「子どもの歌い遊ぶ様子を見て、遊女が罪深い自分の生きざまを振り返ったものだ」とか、「遊んでいても子どものような純心さを忘れなければ阿弥陀仏は救ってくれる」とか、さまざまな解釈がある。

だが、もっとも素直なのは、あどけない子どもの姿に、「人間は歌い遊ぶために生まれて来たのではないだろうか、もう大人である自分も体が動いてしまった」と読むことではないか。

もう少し考えれば、揺らいでしまったのは、身体ではなく、何かにとらわれて生きている自分の生き方そのものだというふうに深読みすることもできる。

仕事をちゃんとやり、家庭をちゃんと守り、大人としての、親としての責任を果たす。

それは正しい生き方だ。だが、人間がこの世に生を受け、生きる意味は、それだけではない。ときには純真な子どものように、遊び、戯れ、楽しみ、生を謳歌していいのだ。

キリスト教的にいえば、神がわが身に似せて人間を作った目的は、純真無垢な人間が楽園で楽しく生きる姿を愛でるためだ。だがアダムとイブが罪を犯したため、人間は汗水たらして働き、生みの苦しみを味わうことになった。だがその罪は、2000年前にイエスが十字架にかかって、あなたの分まで贖ってくださった。だから今は、子どものように純粋な心で、安心して生きなさいということになる。

仏教的にはこの世は輪廻転生を繰り返す苦界である。だが、阿弥陀仏はすべての衆生を救うため結願された。だからどんな苦境に居る人でも、念仏さえ唱えれば救ってくださる。だから、もっとリラックスして活き活きと生きなさいということになるだろう。

いずれにしても、子どものような遊び心を取り戻すことで、人生が再び輝く。それがこの歌の意味なのだろうと思う。

いい大人のベビメタ嫌いが180度変わって熱心なメイトになった実例は枚挙にいとまがない。それは、BABYMETALが、いわゆる「中年の危機」の特効薬だからである。

仕事はベテランの域に達し、生活も安定し、家庭も世間的にはちゃんと維持できている。

だが、職場の人間関係も家族も、なんとなくよそよそしく、自分を尊重してくれているとはとても思えない。生きている実感がしない。今までの生き方への疑問を抑えつけ、時々映画や音楽を聴いて憂さ晴らししてみるが、深い感動なんて得られない。後輩の前では、人生なんてこんなもんだと達観して見せるが、不安だらけ。これが30代後半~40代に起こる「中年の危機」だ。

会社を辞めて独立するとか、不倫しちゃうとか、思いつめて鬱になっちゃうとか、「中年の危機」の解決法というか結末は色々あるが、お薦めは、BABYMETALである。

ベビメタにハマって、大音量でアルバムを聴き、配偶者や子どもに怒られる。

深夜までヘッドフォンでBDを見て泣いたり、ブログを読んでニヤニヤしているのを見られ、呆れられる。

アスマートでBABYMETALやさくら学院のCDやDVD、グッズを買い、それが家に届くと、いい年こいてアイドルにハマり、変態になったのかと心配される。

果ては、限定ライブに当たったとか言って、会社を休んで遠方のライブに行ってしまう。最初は日帰りだったのに、泊りがけで行くようになる。黒Tシャツがたまってくる。

しかし、浮気をしているわけではなさそうだ。会社や仕事の付き合いでなく、交友関係が一気に広がったようだ。お金の無駄遣いだと思うが、それ以外に実害はない。そして、なんか活き活きしてくる。鬱病になられるより、よほどいい。

本人の心の中では、革命が起こっている。

仕事は目標必達が至上ではなく、何のためにやるのかと考えるようになった。部下を叱ることより、自分の失敗談やその仕事の意味を話すようになった。

人生はこんなものだ、とは思わなくなった。

子どもたちも、BABYMETALについていろいろ聞いてくるようになった。いつかは家族でライブに行ってみたいし、海外のライブにも行ってみたい。BABYMETALに出会えて、本当によかった…。

もちろん、これは理想的なケースに過ぎないが、ぼくは現場で出会った結構な数の中高年メイトさんから似たような話を聞いたから、あながち嘘ではない。

要するに「洋楽は好きだけどメタルはキライ」という人にとって、BABYMETALは人生の転換点になり得るのだ。

頑なにBABYMETALを拒否する人には、そういうアプローチをしてみたらどうだろう。

それでも嫌がる人は、きっと「変わること」を恐れている。無理強いしなくても、いつかそういう時が来る。

(つづく)