音楽をタダにした男たち(4) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日、3月20日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

ぼくの知る限り、テレビ、ネット番組のコメンテーターが誰も言わないので書く。

これは政治的意見ではなく、白昼堂々、情報詐欺が行われたことへの警告である。

昨日、共同通信社が17、18両日に実施した全国緊急電話世論調査の結果が、マスメディアで報道された。しかしその報道ぶりには、リテラシーの観点から根本的な誤りがあった。

それは「森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書書き換えで“首相に責任があると思う”との回答は66.1%に上った。」という部分と、「決裁文書書き換えの責任を取り、麻生太郎副総理兼財務相が“辞任すべきだ”は52.0%だった」という部分を比べ、「国民は、首相の方が責任が重いと思っているんですねえ」と強調する司会者、それに便乗した政治評論家がいたことである。お前たちは馬鹿か。

「責任がある」ということと「辞任すべきだ」は全く違う。

「責任があると思うか」という同じ質問項目で、首相と財務大臣を比べるならわかる。

「辞任すべきだと思うか」という同じ質問項目で、首相と財務大臣を比べるならわかる。

もしそうなら、いずれも財務大臣の方が勝っただろう。

それなのに、首相66.1%、財務大臣52%という数字で、あたかも首相の方が、責任が重いという印象を植え付けるために、異なる質問項目を比較しているのだ。

マスコミや野党はまた印象操作で、首相を辞任させたいのだろうが、もし「首相は辞任すべきだと思うか」という質問項目なら、財務大臣が辛うじて52%なのだから、おそらく「そう思う」人は50%未満となるだろう。だから、わざとその質問項目は、この「世論調査結果」に記載していない。

そもそも真昼間に家にいて、固定電話に出る層が、現代の日本でどれだけ偏っているかわかりそうなものだが、そういう方々でさえ、「首相が辞任すべきだ」と思っているのは半数以下だという「本当の結果」が、この「世論調査結果」には隠されているのだ。

小中学生諸君。こんな初歩的な詐欺に、決して騙されてはいけない。こういうことを教えるのがリテラシーという教科だ。

 

『誰が音楽をタダにした?』のつづき。

2018年現在、ユニバーサル・ミュージック・グループ傘下のロック/ポップス系のレーベルを設立年代順に並べ所属アーティストをリストアップしてみた。ジャズ、クラシック専門レーベルは除く。なお、アーティストは過去の在籍を含むため、一部重複する。

●ポリドール・レコード

沿革:1924年設立。1974年ポリグラム→1998年ユニバーサル

所属:ABBA、エミネム、エリック・クラプトン、カーペンターズ、クリーム、ジミ・ヘンドリクス、ジェームズ・ブラウン、ザ・スタイル・カウンシル、セックス・ピストルズ、チック・コリア、ディープ・パープル、ザ・ビージーズ、ザ・フー、フリオ・イグレシアス、レインボー、ローリング・ストーンズ

●デッカ・レコード

沿革:1929年設立。1980年ポリグラム→1998年ユニバーサル

所属:キャメル、ザ・フー、スモール・フェイセス、マリアンヌ・フェイスフル、ムーディー・ブルース、ローリング・ストーンズ

●EMI

沿革:1931年設立。2012年ユニバーサル

所属:ビートルズ、アニマルズ、ピンク・フロイド、ディープ・パープル、ホワイト・スネイク、デヴィッド・ボウイ、クイーン、クラフトワーク、ケイト・ブッシュ、アイアン・メイデン、シーナ・イーストン、ティナ・ターナー、ケイティ・ペリー、デュランデュラン、カイリー・ミノーグ、セックス・ピストルズ、トーキングヘッズ、X JAPAN

●キャピトル・レコード

沿革:1942年設立。1955年EMI→2012年ユニバーサル

所属:アイアン・メイデン、アヴェンジド・セヴンフォールド、クイーン、クイーンズライチ、グランド・ファンク・レイルロード、ケイティ・ペリー、コールドプレイ、サミー・ヘイガー、坂本九、ジェーンズ・アディクション、ダイアナ・ロス、ティナ・ターナー、デヴィッド・ボウイ、デュランデュラン、ナット・キング・コール、ザ・ビーチボーイズ、ビートルズ、ビング・クロスビー、フー・ファイターズ、フランク・シナトラ、メガデス、リンダ・ロンシュタット、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、レディオヘッド

●マーキュリー・レコード

沿革:1945年設立。1980年ポリグラム→1998年ユニバーサル。

所属:クール&ザ・ギャング、バリー・ホワイト、ボンジョヴィ

●モータウン・レコード

沿革:1959年設立。1988年MCA→1999年ユニバーサル

所属:アイズレー・ブラザース、グラディス・ナイト&ピップス、コモドアーズ、スティーヴィー・ワンダー、シュープリームス(ダイアナ・ロス)、ジャクソン5、マイケル・ジャクソン、プリンス、マーヴィン・ゲイ、ボーイズⅡメン、ライオネル・リッチー

●A&Mレコード

沿革:1962年設立。1989年ポリドール→1998年ユニバーサル

所属:ハーブ・アルバート、チャック・マンジョーネ、セルジオ・メンデス、バート・バカラック、カーペンターズ、ジョー・コッカー、リタ・クーリッジ、ポリス、スティング、ブライアン・アダムス、ジャネット・ジャクソン、シェリル・クロウ、セックス・ピストルズ、ヒューマンリーグ、フリー

●アイランド・レコード

沿革:1962年設立。1989年ポリグラム→1998年ユニバーサル。

所属:アンスラックス、Utada、エイミー・ワインハウス、エルヴィス・コステロ、キング・クリムゾン、スティーヴ・ウインウッド、デフ・レパード、トム・ウェイツ、トラフィック、バッド・カンパニー、B-52’s、フリー、ボブ・ディラン、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ、ボンジョヴィ、モット・ザ・フープル、U2、ロキシー・ミュージック

●ヴァーティゴ・レコード

沿革:1969年フィリップス傘下で設立。1989年MCA→1996年ユニバーサル

所属:ブラック・サバス、ユーライア・ヒープ、ロッド・スチュアート、ニルヴァーナ、ステイタス・クオー、ダイアー・ストレイツ、デフ・レパード

●ヴァージン・レコード

沿革:1972年設立。1984年EMI→2012年ユニバーサル

所属:アリス・イン・チェインズ、イギー・ポップ、カルチャー・クラブ、ゲイリー・ムーア、坂本龍一、ジャネット・ジャクソン、ジェネシス、スパイスガールズ、タンジェリン・ドリーム、デヴィッド・ボウイ、ピーター・ガブリエル、フィル・コリンズ、ブライアン・イーノ、マイク・オールドフィールド、マライア・キャリー、レニー・クラヴィッツ、ローリング・ストーンズ、XTC

●カサブランカ・レコード

沿革:1973年設立。1976年ポリグラム→1998年ユニバーサル

所属:KISS、エンジェル、ドナ・サマー、アイリーン・キャラ、リンジー・ローハン、ヴィレッジ・ピープル

●ゲフィン・レコード

沿革:1980年設立。1990年MCA→1996年ユニバーサル

所属:イーグルス、E・Z・O、エアロスミス、エイジア、XTC、エルトン・ジョン、オーディオスレイヴ、オールタイムロウ、オノ・ヨーコ、オリアンティ、カイリー・ミノーグ、ガンズ・アンド・ローゼズ、喜多郎、ザ・キュアー、サミー・ヘイガー、シェール、シャギー、ジョニ・ミッチェル、ジョン・ウェットン、ジョン・レノン、スタイル・カウンシル、ストーンローゼズ、スヌープ・ドッグ、ドナ・サマー、ニール・ヤング、ニルヴァーナ、パット・メセニー、ピーター・ガブリエル、ザ・フー、ホワイト・スネイク、マノウォー、リンプ・ビズキット

●デフ・ジャム

沿革:1984年設立。1990年MCA→1996年ユニバーサル

所属:パブリック・エネミー、デフ・スクワッド、アシャンティ、ビースティ・ボーイズ、リアーナ、スレイヤー、ジェイZ、カニエ・ウェスト、リュダクリス他黒人ラッパー多数

●インタースコープ・レコード

沿革:1990年ワーナー傘下で設立。1989年MCA→1996年ユニバーサル

所属:2パック、オールタイムロウ、エミネム、ベック、ドクター・ドレー、ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョン、U2、リンプ・ビズキット、ウィル・スミス、マドンナ、マリリン・マンソン、レディ・ガガ

●リパブリック・レコード(複数レーベル)

沿革:1995年設立。1999年ユニバーサル。

所属:テイラー・スウィフト(ビッグマシーン)、ZZトップ(アメリカンレコーディングス)、サウンドガーデン(ロマ・ヴィスタ)、ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ(スクールボーイズレコード)

 

第二次世界大戦の前後から1970年代までに設立された名門レーベルが、ユニバーサル傘下に統合されていく過程は、大きく3つの分類できる。

ひとつ目はモータウン、ゲフィン、ヴァーティゴのようにMCAに吸収され、1996年に改名したユニバーサル傘下に収まったケース。

ふたつ目はA&M、ポリドール、デッカのようにポリグラム・レコードに吸収され、1998年以降にユニバーサルに合併されたケース。

最後が、キャピトル、ヴァージンのように4大メジャーの一角だったEMIの傘下となり、2012年にまるごとユニバーサルに吸収されたケース。

多くがこの3つのケースを経て、1990年代~2012年にユニバーサル・ミュージック・グループに統合され、世界最多のアーティストを擁する世界最大のレコード会社を形成した。

ちなみに現在、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)、ワーナー・ブラザース(WB)、ソニー・ミュージック・エンタテインメント(SME)の3社は、米3大メジャーレコード会社と呼ばれている。

BABYMETALと同じアミューズに所属するPerfumeの作品は、UMGの日本におけるレーベルのひとつ、ユニバーサルJ傘下のPerfume RECORDからリリースされる。だからPerfumeは日本・海外ともユニバーサル系列のアーティストといえる。

さくら学院は、2012年まではトイズファクトリーだったが、2012年から2015年までは同じくユニバーサルJからCD/DVDをリリースしていた。(現在はインディーズ扱いでアスマート直販のみ)

しかしBABYMETALは、デビュー以来一貫してトイズファクトリーで、初期は重音部RECORDS、現在はBMD FOX RECORD というレーベルから作品をリリースしている。

トイズファクトリーは、ビデオ制作会社Vapの制作2部が独立した国産レコード会社なので、日本でのBABYMETALは、海外3大メジャーのどこにも属していないといえる。

ちなみにAKB48は、デビュー当初SME傘下のデフスター・レコードから作品をリリースしていたが、2008年からは、国産レコード会社であるキングレコードのYou,Bw Cool!をレーベルとしている。ももクロも、キングレコードのレーベルEVIL LINE RECORDSから作品をリリースする。

キングレコードは、大日本講談社(現講談社)の音楽部門として1931年に設立された。

演歌で知られるが、かつてはキャピトル、デッカと提携し、ブリティッシュロックバンドやマニアックなプログレッシブロックのシリーズなどもリリースしていた。これらの海外レーベルがEMI、ユニバーサルへと統合されていくたびに、キングは提携を打ちきり、純国産を守り続けてきた。AKBグループは、由緒正しい日本のレコード会社であるキングレコードの屋台骨を支えてきたわけだ。このあたりが秋元康のビジネスモデルを軽々に批判できないところだ。AKB48を移籍させた穴埋めか、秋元康は、乃木坂46、欅坂46の作品はSMEからリリースしている。

BABYMETALのヨーロッパでのレーベルは、ドイツ・ハンブルグで1986年に設立された独立系レコード会社Edel AG傘下のe・a・r MUSICである。ウィキペディア英文のサイトを見ると、Edel AGが1998年にドイツ証券市場に上場し、「セイラームーン」シリーズのドイツ語版アニメで急成長したこと、e・a・r MUSICの所属アーティストとしてDeep Purple、Foreigner、Chickenfoot、Def Leppard、Stratovarius、Status Quo、Doragonforceと並んでBABYMETALが記載されていることがわかる。

つまりヨーロッパでもBABYMETALは米3大メジャーから距離を置いているのだ。

だが、アメリカでのBABYMETALのレーベルはRALであり、ここはソニー・ミュージック・エンタテインメントの子会社である。

つまりアメリカでのBABYMETALは、ユニバーサル系のPerfume姉さんとは違って、ソニー系のアーティストなのだ。

去年5月、BABYMETALのアニメが、ワーナー・ブラザース系列のアニメ会社で制作されるというアナウンスがあった。だがこれは「系列違い」であり、案の定、いつの間にか立ち消えになった。

アーティストが国によって、あるいは時期によってレーベルを変えることはよくある。

例えばMETALLICAは、インディーズレーベルであるメガフォースから『Kill'emAll』でデビューし、その後、ワーナー系のエレクトラ・レコードに移籍。日本ではSMEからCDを発売したが、本国ではフィリップス系のヴァーティゴに移籍するが、ヴァーティゴはMCA傘下に入り、MCAは1996年にユニバーサルに改名するので、現在METALLICAはユニバーサル傘下のBlackendレーベルに所属している。

KORNの場合は、ソニーBMGからソニー傘下のエピックレコードに移り、そこからEMIに移籍。EMI傘下のヴァージン・レコードに移るが、さらにワーナー系のロードランナー・レコードに移籍したかと思うと古巣のヴァージン傘下のCarolineレコードに移ったが、結局、2012年にEMI、ヴァージンがまるごとユニバーサルと合併したため、現在はユニバーサル・インターナショナル、つまりユニバーサルJを含む、日本のユニバーサル合同会社に所属している。

アーティストが契約するレコード会社を変えるのは、契約条件やプロモーションの有利さを求めてのことだろう。だが、この30年間は、レーベルが3大メジャーに統合されていく過程だった。アーティストが好待遇を求めて移籍する選択肢は減り、3つのメジャー系列のどこかに所属しなければ、文字通り“メジャー”にはなれなくなった。そしてどこかに所属したが最後、系列の枠を超えることは基本的に許されない。

現在、メタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスのいわゆるスラッシュメタル四天王は、すべてユニバーサル系列のレーベルに所属している。スリップノットがワーナー系のロードランナー・レコード所属だったり、カンニバル・コープスが、ソニーBMG所属だったりという住み分けはあっても、結局、メタル市場も3大メジャーの寡占状態なのである。

それはぼくらにとって、いいことなのか?それとも最悪の事態なのか?

(つづく)