お稲荷さんの正体 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日3月9日は、2015年、第7回CDショップ大賞に「BABYMETAL」が選出された日DEATH。

 

昨日、公式から、4月1日(日)FOX DAYに、全国16か所の映画館にて、「BABYMETAL LEGEND - S - 洗礼の儀 - “FOX DAY” JAPAN PREMIERE」上映されるという発表がありました。

WOWOWでも、その前日3月31日(土)20:00から「Legend-S-洗礼の儀」の放映がありますが、放映時間は21:15までなのでカットされる曲やシーンがあるのでしょう。

今回の映画館での上映は2時間程度を予定しているため、後日BDでリリースされるフルバージョンの先行上映ということなのでしょう。

ベビメタらしく、全国3か所限定の午前零時からのイベント性の高い上映会(グッズ付き4,500円)と、午後7時からの上映(3,600円)の2種類があります。

日時・会場をまとめておきますね。

 

① 2018年4月1 (日) 00:00 START(終了2:00予定)

会場:東京都新宿区・新宿ピカデリー、愛知県名古屋市・ミッドランドスクエア シネマ、大阪府大阪市・TOHOシネマズ 梅田

4,500円(税込 / 全席指定 / オリジナルグッズ付、18歳未満入場不可。)

 

② 2018年4月1 (日) 19:00 START

会場:北海道・札幌市ディノスシネマズ札幌劇場、宮城県・仙台市MOVIX仙台、神奈川県横浜市・横浜ブルク13、千葉県柏市・MOVIX柏の葉、埼玉県春日部市・イオンシネマ春日部、静岡県静岡市・MOVIX清水、新潟県新潟市・ユナイテッドシネマ新潟、京都府京都市・MOVIX京都、兵庫県神戸市・神戸国際松竹、岡山県岡山市・TOHOシネマズ岡南、広島県広島市・イオンシネマ広島、福岡県福岡市・ユナイテッドシネマキャナルシティ13、熊本県熊本市・TOHOシネマズはません

3,600円(税込 / 全席指定)※3歳以上有料 / 3歳未満で座席が必要な場合は有料。

 

チケット購入は、チケットぴあ:http://pia.jp/v/babymetal18fclv/で、THE ONE先行エントリーが3月8日(木)18:00 〜 3月12日(月)16:00(2018年度BIG Tシャツの申込番号が必要)、一般プレリザーブ(予約抽選)が3月13日12:00~18日23:59、残り座席の一般発売が3月24日19:00~30日12:00の3回。

 

井上満郎著『お稲荷さんの正体~稲荷信仰と日本人』(洋泉社歴史新書)を読んだ。

伏見稲荷大社の成立、渡来人秦氏、平安時代の稲荷祭が各種芸能の行われる音楽ライブだったこと、仏教との習合、武士による稲荷信仰の継承などが考証されている。

ぼくはまだ伏見稲荷に詣でたことはないのだが、これを読むとキツネ様がいかに日本人に愛されてきたかを史実として確認することができる。

そしてまた、いくつものBABYMETALとの「符合」を発見してしまった。

その1 伏見稲荷は、もともと三社だったこと。

現在の伏見稲荷大社は平地にあるが、本来は本殿の背後にある標高300メートルほどの稲荷山がご神体だった。そこは、三つの峰があり、それぞれ三の峰下社、二の峰中社、一の峰上社と呼ばれている。つまり、三体の神がセットなのである。

857年成立の『日本文徳天皇実録』には「稲荷神三前」とあり、927年の『延喜式神名帳』にも「稲荷神三座」という記述がある。

主祭神である宇迦之御魂神(うかのみたま)は、ウケ=食物=五穀豊穣を司る神であり、ネズミの害から稲を守るキツネが神の使いとされたが、それが三狐(みけつ)と呼ばれたのは、もともと三体の神だったからである。

メロイックサインを影絵のキツネさんだと思い込んだことからBABYMETALはメタルの神キツネ様に召喚されたという「設定」になったが、いかなる偶然か、稲荷神=キツネ様そのものが三体であり、BABYMETALがSU-、YUI、MOAの三人だったのと一致するのである。

 

その2 「4」の神が祭られていること。

稲荷山には、秦氏の到来以前の遠い古代から祭祀場として使われてきた遺跡があった。秦氏は、ここに古くから住みついていた古代人の山岳信仰を基盤として、宇迦之御魂神を主祭神とした神社を創建したわけである。そして、平安時代には、現在と配置が違うが、下社大宮能売命、中社宇迦之御魂神、上社佐田彦命の三神が鎮座するとされた。

以前書いたように、『古事記』によれば、宇迦之御魂は、素戔嗚尊と神大市比売の娘であるが、神大市比売は、アメノウズメであるとされ、大宮女命と同一視される。つまり天照大神が岩戸隠れした時、歌い踊って岩戸から引きずり出すのに貢献した神である。また、のちに、瓊瓊杵尊の天孫降臨の際、道案内をした猿田彦=佐田彦命と結婚したともいわれる。素戔嗚は姉の天照との「誓約」によって、宗像三神(多紀理毘売、市寸島比売=厳島神社、多岐都比売)も生んでおり、「神間関係」はかなり複雑だ。

このため、もともと宇迦之御魂神だけだった伏見稲荷の祭神は、平安時代には、宇迦之御魂神と、そのお母さんの大宮能売命、お母さんの再婚相手の佐田彦命の三体ということになったと思われる。

ところが、1180年頃成立の『梁塵秘抄』には、「稲荷をば三つの社と聞きしかど 今は五つの社なりけり」という歌があり、伏見稲荷の祭神は、いつのまにか五体になったらしい。

加わったのは、田中神(田の神=山の神、火と竈の神=荒神)と、四大神(しのおおかみ)である。

四大神というからには四体の神がいるはずだが、素戔嗚尊、神功皇后、大歳の神(宇迦之御魂神の兄弟)、瓊瓊杵尊、五十猛尊、大屋津姫命、抓津命、事八十命、底筒男命・中筒男命、表筒男命など候補が多すぎて特定できない。要するに「4」の神である。よんよん。

現在の伏見稲荷の祭神は、平安時代と配置が違い、上社に大宮能売大神とその摂社四大神、下社に宇迦之御魂神、中社に佐田彦大神とその摂社田中大神という五神体制である。

4人の神といえば当然神バンドであり、田の神あるいは荒神にあたるのが、マニピュレーター宇佐美秀文氏ではないか。

なんということでしょう。伏見稲荷の五神体は、SU-、YUI、MOAと4人の神バンドに宇佐美秀文氏を配した、BABYMETALのステージ構成と一致するのである。

 

その3 伏見稲荷祭が音楽ライブだったこと

井上満郎氏の『お稲荷さんの正体』によれば、稲荷祭の始まりには「貞観年間(859~877)」や「延喜八年(908年)など諸説あるが、国家や政治家によって意図的に作り出されたのではなく、庶民の信仰から始まり、徐々に形を整えていったものらしい。

寛弘三年(1006年)の藤原実資による『小右記』や、『和泉式部続集』には、賑やかな稲荷祭りのようす、見物する貴族たちや民衆の熱狂が記されているという。

中でも、文章博士、大学頭となった藤原明衡による『明衡往来』(1066年頃)には、稲荷祭に参加した際の情景が生き生きと描写されている。

二人の友人とともに同じ牛車に同乗して、祭礼行列の通る七条大路に行くと、蔵人所の下級役人たちがグループで集まって揉めていた。おそらく場所取り合戦だろう。

行列に参加する人々のスタイルは「金銀をちりばめて衣装を飾り、錦繍をきりて領袖につづり」とある。金糸、銀糸や錦の布を使った豪華な衣装で、お祭り気分を高めている民衆の姿が思い浮かぶ。

町の辻々では、「幾千万とも知ら」ない「雑人」たちが、「各々の願いを果たさんためみだりに種々の芸を表し」ていた。民衆が、思い思いに稲荷神に捧げる色んな芸能をやっていたのだ。

それらは、「内藤太の横笛」「琵琶禅師の琵琶」「黒長丸の傀儡」「白藤太の猿楽」などであり、井上満郎氏は「横笛・琵琶は楽器であり、おそらくこれは歌唱がともなう。現代の音楽ライブである。」(P.121)と書いている。いいね!

今から1000年以上も前に、稲荷神=キツネ様を慕う数万人の民衆による熱狂的フェスティバルという光景が、この日本に存在していたのだ。

戦国時代には、戦乱に巻き込まれ、伏見稲荷が全焼したこともあった。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は、稲荷神社を保護したが、豊臣秀吉は稲荷神の霊験を信じるあまりに、養女豪姫が病気になったときには「野狐の所為」だと思い込み、稲荷神の使いである狐を退治しようとしたという。

この本は、伏見稲荷大社への信仰を中心に書かれているので、現代にまでつながる、江戸時代の稲荷信仰の広がりについてはプロローグやエピローグで軽く触れられる程度であるが、稲荷神=キツネ様は、天皇を頂点とする伊勢神道の伝統とはやや違った、親しみやすい神様として、日本の民衆の心に根を下ろしていたことがよくわかる。

『お稲荷さんの正体』によると、伏見稲荷の創建は、和銅4年(711年)2月と考えるのが妥当だという。だから、2011年には、『伏見稲荷大社御鎮座千三百年史』(伏見稲荷大社)が上梓されている。

キツネサインを掲げる三人の少女たち=さくら学院重音部が結成されたのは2010年11月だが、BABYMETALと名乗ったのは2011年2月のさくら学院Happyバレンタインライブである。

1300年の時を超え、「4の歌」を歌い、「メギツネ」で海外のメタルヘッズたちを熱狂させ、BABYMETALが日本の代表として大活躍していることは、本当に偶然なのだろうか。