キツネ祭BD(7) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日2月25日は、2014年、「ギミチョコ!!」PVが初公開(現在8397万回超)され、2015年のヨーロッパツアーの追加公演(ストラスブール、チューリッヒ、ボローニャ)が発表され、2016年には、セカンドアルバム「METAL RESISTANCE」のTrailerが公開された日DEATH。

 

●2017年10月15日巨大キツネ祭り@大阪城ホール(つづき)

「META!メタ太郎」で、BABYMETALとともに「心の進軍」をした会場に、ピアノのメロディをバックに「Why do people hurt each other?」というナレーションが流れる。

「黒キツネ祭り」のフィニッシュ曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」である。会場では、早くもWODの輪が数か所できている。

「♪ルルルールルルー…」というSU-のハミング。広いステージの下手にYUI、上手にMOAがクラウチングスタートのポーズで控えている。

バンドのイントロから、SU-の「♪あー」で、YUI、MOAの疾走が始まり、会場では確認できる限り4か所以上でサークルモッシュが始まった。

サビの「イジメ!」「ダメ!」、「キツネ」「飛べ!」では観客のXジャンプが高い。

それに応えてか、YUIとMOAの偽闘のキックも高い。

下降コード進行と上昇コード進行のせめぎ合いは、ついに上昇進行が勝利し、転調後の「♪ダメダメダメダメ!」のときのMOAはもう笑顔になっている。

そして、「♪イジメ、ダーメ、ダーメー」のあとのギターのダブルストップで余韻を残したまま暗転。「IDZ」は「巨大キツネ祭り」のフィニッシュ曲ではなかった。

照明が青くなり、「KARATE」のイントロSEが流れる。三人の斜めポーズがきれいに揃ったところでギターのリフが入り、曲が始まる。

「♪セイヤ、セセセ、セイヤ!」で、MOAは完全にニッコニコの笑顔である。

巨大スクリーンに三人の姿が映ると、CGの合成で、手や足から「気」が炎となって立ちのぼる。ステージ前面とスクリーン前には本物のパイロの炎が立ちのぼっている。

こういう演出は単独大会場ライブならでは。シンプルな小箱や愛想のないフェス、前座のステージでもよいが、ド派手なスタジアムライブはBABYMETALの魅力を一層引き立てる。

海外から戻って、煽りやアドリブハミングは無くなり、「Everybody Jump!」も無くなって、音源どおり倒れ込み、SU-がまずMOAを、次にYUIを助け起こし、三人が肩を組んで立ち上がり拳を振り上げる無言劇だけになったが、この曲が持つ「闘い」の魂はびんびん伝わってくる。

ぼくは何度も書くが、右手の握りこぶしを左手のキツネサインに変えて掲げたあと、すっと胸に秘める最後のしぐさが大好きである。「巨大キツネ祭り」では、キツネサインが上がるか上がらないかのところで照明を落とし、残像を観客の目に残す、心憎い演出であった。

雷の音が鳴り、運命を告げるフーガのようなオルガンの響き。

「♪伝説の…」とSU-が歌い出す。「ヘドバンギャー!!!」である。

10月15日の時点では、もうサマソニの「ついに、ついにここまで来ました!」も経験していたし、9月の巨大キツネ祭り@SSAで「謎解き」が始まり、12月にLegend “S“-洗礼の儀-が広島であることはわかっており、あとは最後の会場名と確定日程を待つばかりになっていた。だから5大キツネ祭り、サマソニ、巨大キツネ祭りと「ヘドバンギャー!!!」が必ずセトリに入っている意味は、感慨深くファンの共通認識としてあった。もちろん広島で「♪はーたちのよーるを…」と歌われることは知る由もなかったが。

1番が終わり、SU-の「♪ヘドバンギャー!」の絶叫から煽りが始まる。

MOAは笑顔のまま「みんなの声、全然聴こえないよ!」と客席を煽る。

YUIはあんなおしゃまな顔をして、もっと乱暴に「まだまだ全然足らねえ!」と叫ぶ。

こういうところがYUIちゃんですねえ。言わされてるのか、本当に誰よりもブルータルなのか。ぼくは後者の説を取りたい。スカル好き、カンニバル・コープス好きだもんね。

YUI、MOAはそれぞれスモークマシンを持ち、客席にぶちまける。東京ドーム以来のヘドバン地獄。観客席は嬉々としてヘドバンを続ける。中にはWODでお互いにヘドバンしあうメイトさんもいる。

「♪頭頭頭―」のあとの「♪いーちごのよーるを…泣き虫な奴はここから」は大人しく可愛く。観客の「キ・エ・ロ!」の声が大きい。

そして「♪いーちごのよーるを…邪魔をする奴は即座に消え失せろ!」は鬼気迫る声で。こういう声の使い分けが、大人になったSU-の表現力である。

暗転後、戦国SEが流れ、巨大スクリーンには夜空を飛び交う銃弾のようなCG。会場には暗闇を照らすサーチライトのような照明。

三人がベビメタ旗を持ってせり上がってくる。「赤キツネ」「金キツネ」「白キツネ」のフィニッシュ曲「Road of Resistance」である。

またしても会場内にWODができ、「♪1234!」で曲が始まるとサークルモッシュが始まる。

「DEATH!」「♪東のそーらを」「DEATH!」「♪真っ赤に染める…」観客席は、この曲がフィニッシュという気持ちで、のども裂けよとばかりにスクリームする。

あっという間にシンガロングパートに到達。数万人規模の「♪Wow wow wow wow…」は、どの会場で聴いても感動的である。特に今日は、2017年の「5大/巨大キツネ祭り」の最終日。1万数千人のシンガロングは大阪城ホールの天井を揺らすほどの響きとなった。

「♪かかってこいよー!」というSU-の雄叫び。

「♪進め!答えはここにある」とステージを指さす三人。

「Get Your Fox Hands Up!」で曲は終わるが、「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rはない。「ROR」も巨大キツネ祭りのフィニッシュではなかった。

静かに始まったオーケストラをバックに、巨大スクリーンには、宇宙空間に輝く灼熱色の「メタル銀河」が映る。

やがてその「メタル銀河」に、会場を埋め尽くす観客の生映像が重なった。黒いベビメタTシャツを着て、上気した顔でSU-の名を、YUIの名を、MOAの名を叫び、キツネサインを掲げる1万数千人の観客。

そう。「メタル銀河」の星のひとつひとつは、ぼくら一人一人なのだ。

満場の観客から、自然発生的に拍手と歓声が沸き起こる。

2014年に海外進出したとき、「紙芝居」で明らかにされたBABYMETAL誕生の地、「メタル銀河」とは、映画「スターウォーズ」のタイトルロールのパクリ設定だと誰もが思っている。

だが、「メタル銀河」は実在するとぼくは思う。

それは、物理的に、あるいは時間的に、遥か遠い宇宙の彼方にあるのではない。

それは、ぼくらTHE ONE一人一人の心の中に、かつてあり、今もあり、これからもあり続ける「メタル魂」のことなのだ。だから「メタル銀河」の中には「澄んだ星」も「日出ずる国」もある。BABYMEALはまさしく、そこで生まれたのだ。

だから。

「メタル銀河」へと旅立った藤岡幹大氏は、無数のまばゆい光となって、ぼくらBABYMETALを愛する一人一人の心の中に入り込み、永遠に輝き続けるのだ。古来、死者を送るとき人々が云う「星になる」とはそういうことではないか。

「♪No reason why, I can’t understand it. Open your mind, we can understand it」

(jaytc意訳:それは、理由なくしては、わからないこと。でも、心を開けば、ぼくらにはそれが何かきっとわかる。)

「♪We are THE ONE together We’re The ONLY ONE, You are THE ONE forever you’re THE ONLY ONE」

(jaytc意訳:ぼくらはひとつ、THE ONE、ぼくらはONLY ONE、あなたはTHE ONE、永遠にONLY ONE。)

「♪Standing in Circle pit, side by side, (hand in hand) Raise your hands」

(jaytc意訳:サークルピットに隣り合って立ち(手を携え)、両手を高く掲げよう。)

「We are THE ONE, whenever we are on your side. You are THE ONE remember always on your side…」

(jaytc意訳:ぼくらはTHE ONE、どんな時でもあなたのそばにいる。あなたはTHE ONE、忘れないで、いつもそばにいる…)

この歌詞は、BABYMETALからぼくらTHE ONEへの愛の歌だとぼくは思う。

「♪ララララーララーラーラララララー…」

観客の大合唱はBABYMETALへの愛の証である。

やがて曲がスローダウンし、花火が爆発する。

こうして「巨大キツネ祭り」は終わり、BABYMETALは「See you!」も告げずに去っていった。

ちなみにBDには、ライブ終了後にスクリーンに示されたLegend”S”-洗礼の儀-の告知は、一切収録されていない。

BABYMETALを単なる流行音楽の1アーティスト、商品の1つに過ぎないと思うか、それを、ネット時代に初めて生まれた歴史的な現象、あるいはメタルの神キツネ様によって引き起こされた奇跡の音楽共同体と見るか。

それは自由であっていい。

だが、間違いなくBABYMETALと、THE ONEと名づけられたファンベースは生きている。

このBDセットは、その2017年の夏から秋にかけての「記録」である。

今回のような突然の不幸があってもBABYMETALは歩みを止めず、きっとまた大きく前進する。それは歴史を作ってきたバンドの多くが経験してきたことである。そしてその歩みを「父兄」のように見守ることで、ぼくらは毎日を生きる何がしかの「力」をもらえる。

ぼくは、BABYMETALに出会えて本当によかったと思う。

心からそう思う。

(この項終わり)