キツネ祭BD(1) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日2月18日は、2016年、NHK放送センターにて「BABYMETAL革命 世界と戦う少女たち」の収録が行われた日DEATH。

 

THE ONE限定「THE FOX FESTIVALS IN JAPAN 2017」BDボックスセットがようやく我が家に到着した。

セットの内容は、「黒」「赤」「金」「銀」「白」「巨大」の計6枚のブルーレイディスクと、そこに封入された曲目の紙とハガキサイズの写真各1枚という超シンプルな構成。

「TRILOGY METAL RESISTANCE EPISODEⅢ」以前のTHE ONE限定ボックスは、凝りに凝ったパッケージで、「芸術品」であったが、反面収納に苦労した。500部限定のキツネ面セットもあったことだし、今回は、シンプルなパッケージにしたということかもしれない。

これで33,480円(税込)はどう考えても割高だが、ベビメタロス砂漠を彷徨うベビオタにとっては、オアシスを見つけたような心境DEATH。

Legend“S”@広島は、まだ発売予定すら明らかになっていないので、このボックスセットが最新のBABYMETALということになる。それはつまり、神バンドとしての藤岡神の演奏を見られる最後の映像だということだ。

昨日発売された4月23日の追悼ライブ「My Little God」@クラブチッタ川崎のチケットは一瞬でSOLD OUTした。もう二度と帰らないあの夏を、ライブ開催順にレビューしてみよう。

 

●2017年7月18日The Black Fox Festival@赤坂Blitz

―引用―

メタルレジスタンスの幕開けと共にキツネ様によって解き放たれた5つのメタルの魂は5匹のキツネたちへと憑依した。やがてその5匹のキツネたちはThe Chosen Fiveの元へと導かれるのであった。

「黒」「赤」「金」「銀」「白」。

この夏、日出づる国で5色の狐火が舞い踊るのだ。

諸君、首の準備は出来ているか?

もう一度聞く。首の準備は出来ているか?

メタルヘッズだけのカーニバル”黒キツネ祭り“の幕開けだ!

―引用終わり―

2017年前半は、METALLICAのソウル公演、レッチリの米東海岸ツアー、ハリウッドでの単独公演、KORNの米西海岸ツアーなど、BABYMETALのライブはGuns ‘N Rosesの日本4公演を除くと、みな海外だった。この「黒キツネ祭り」は国内での2017年初単独ライブということになる。

「紙芝居」が始まったとたん、大歓声。ステージには2014年のロンドン公演のように、紗幕がかかっており、「BABYMETAL METAL DEATH」のイントロで、三人の影が映った瞬間、大歓声が起こる。

会場がベビメ体操から「DEATH!DEATH!」と盛り上がると、「ああ、BABYMETALが帰ってきた!」という感慨にどっぷり浸れる。

2曲目は「メタ!META太郎」。

「紙芝居」にあったように「黒キツネ祭り」は、メタルヘッズのためのカーニバルという位置づけである。ブルータルな「BMD」に続いてこの曲にしたのは、そういう意味だろう。

2番が終わると東京ドームで学習した観客は「♪Woo woo woo woo woo…」とシンガロングする。3番に入った瞬間、半音上がる編曲だが、BDではうまく調整されている。

続いて神バンドによるインプロヴィゼーション。

下手藤岡神のソロは、ハイ・フレットのスウィープピッキングで導入し、リディアンスケールで下降と上昇を繰り返すこの人ならではのブルータルなフレーズを観客席に突き刺す。続く上手大村神のソロは、前半小刻みにチョーキングを交えたHR的なフレーズから、後半はメロディックマイナー主体のメロディアスな速弾き。個性の違いが出る。

BOH神のベースソロは指弾きで細かいメロディを重ねながら中盤はスラップを見せ最後はハイ・フレットに上昇していく安定のソロ。

青山神は、KORNツアーで見せた立ち上がりパフォーマンスこそしなかったが、正確かつ手数の多いソロで観客席を沸かせた。長期間海外を転戦したことで、また一段とバンドのコンビネーションが良くなっている。

「ハイ!ハイ!」と三人が入ってくると、ブルータルさとKawaiさの融合が生まれ、観客席は熱狂の嵐になる。やはりBABYMETALは世界一のライブバンドである。

続くのはSU-ソロの「悪夢のロンド」。ライブで演奏されるのは東京ドーム以来となる。

SU-のボーカルは、声質が太くなり、落ち着きと迫力、表現力を増しているのがわかる。

2016年12月以降の海外転戦の中で磨かれたのだと思う。2015年までは音程の微妙なずれや高音の伸びに彼女の体調を心配していたのが、今はもうピッチがどうのこうのいうレベルではない。完璧なピッチで、複雑なリズムを寸分の狂いもなく堂々と歌い上げるその表現力は、歌姫というにふさわしい。

神秘的なオーケストレーションに続いて始まったのはBBMの「Sis. Anger」。

メタルヘッズに捧げられた「黒キツネ祭り」にピッタリである。このBDは、中音域を抑えて低域に寄せたイコライジングになっているので、激しく踊りながら歌うYUI、MOAの生歌にメロディラインが任せられ、ブルータルなハーモニーラインを奏でるバンドの音が前面に出て、より「ブラック」な感じに仕上がっていた。

「♪きーつーねーきーつーねー…」のSEに続いて、三人がバックライトに照らされる。

FOX FESTIVALの主役、「メギツネ」が始まる。

「♪おめかしキツネさん、ツインテなびかせて…」とSU-が歌い出すと、ボーカリストとしてのSU-の凄さが際立つ。たった1人で神バンドを従えてしまう圧倒的な声の力。

「Welcome to the Black Fox Festival!We’re so happy to see you! We want to spend amazing time with you more! Are you ready? A—re Yo—u Ready! 1,2,1,2,3 Jump!」

この煽りは、完全に海外仕様だが、有無を言わせぬそのカリスマ性は、今の日本で唯一SU-METALだけが持つ。ああ幸せ。

続く「ギミチョコ!!」は、海外の前座ライブではフィニッシュ曲だった。レッチリ最終日の「チリチョコ」、KORN最終日の「チョKORN」は記憶に新しい。ここでのBABYMETALは、煽りなし。間奏部のギターソロの後半、藤岡神と大村神がツインギターでハモっているのがわかる。完璧な演奏と完璧なパフォーマンス。

もちろん「黒キツネ祭り」はここで終わらない。続く曲は「ド・キ・ド・キ☆モーニング」。

海外でのフィニッシュ曲のあとに、日本でのデビュー曲を持ってくるセトリが心憎い。

このアイドルソングに“パンテラ風”のリフをつけたのがすべての始まりであり、ハリウッドでは、そのパンテラ創設者であるヴィニー・ポールによる後継バンド、ヘルイェーがBABYMETALのOAを務めたのだ。大物バンドとの前座ツアーといい、ヘルイェーを前座にしたことといい、サマソニでマリンステージのトリ前に立ったことといい、SU-METALの成人記念に凱旋公演を広島でやったことといい、2017年はBABYMETALにとって、やはり記念すべき年だった。

続く曲はなんと「ヘドバンギャー!!!」。

これも東京ドーム以来だが、2015年までは「ド・キ・ド・キ☆モーニング」→「ヘドバンギャー!!!」→「イジメ、ダメ、ゼッタイ」がフィニッシュへの定番だったのに、2016年以降は東京ドーム以外では演奏されなくなっていた。半ば“封印”されたと思っていたのだ。

なぜ「ヘドバンギャー!!!」がこの夏、再びクローズアップされたのか。

この時点では「黒キツネ祭り」が、メタルヘッズ=古参メイトさん向けとして組まれたセトリだったのだと思っていた。

だが、「ヘドバンギャー!!!」は、この夏ずっと演奏され続けた。

そしてLegend“S”@広島でSU-が「♪はーたちーのよるをー」と歌ったことで「なるほど!」とメイト全員が納得し、感涙にむせぶことになる。この曲は、BABYMETALの新たな旅立ちの歌なのだ。

そして、フィニッシュは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。

「KARATE」も「ROR」もないセトリは、古参ファンにとっては懐かしいが、新しいファンには新鮮だろう。だが、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」はメジャーデビュー曲に相応しく、「普遍音楽文法」の神秘的な魔力に満ちた楽曲である。

狭い会場にはサークルモッシュの渦が出来ていた。絶望的な下降と、決意を秘めて立ち上がる上昇とを繰り返すコード進行、そしてツインギターのせめぎ合い、YUIとMOAの偽闘の果てに、ついに希望に満ちた上昇が勝り、同じキーの短調から長調へと劇的に変化する「勝利の歌」を全身で受け止めた観客は、熱狂の中で帰ってきたBABYMETALを讃えた。

(つづく)