STU48デビュー | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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★今日のベビメタ

本日1月31日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

東京メトロ有楽町線に乗ったら、吊り広告が全車両、1月31日にリリースされるSTU48のメジャーデビューシングル「暗闇」のポスターだった。

1枚にメンバー2名。

STU48のメンバーは現在1期生31名だから、16種類のポスターが、全車両に掲示されていたのである。

STUに該当する都市名はない。

AKBグループとしては国内6組目となるSTU48は、瀬戸内地方7県(広島県・山口県・岡山県・香川県・愛媛県・徳島県・兵庫県)をフランチャイズとする。1つの都市に劇場を設け本拠地とするのではなく、初めての広域エリア型のグループである。

企画としては、瀬戸内海を航行する船に劇場を設け、港々を巡業するのだという。ただしこれはまだ完成していない。それどころか、船便が密集する瀬戸内海の航路については100社を超える船会社と調整中、船自体も既存船では無理なので、新たに造船所に発注する予定で計画中だという。(公式HP「船通信」による)

ポストモダン的感性で、インドネシアの船商人、あるいは映画『泥の河』に描かれた船女郎を思わせる、海のアジアの巡回芸能者のようで面白いアイデアだと思って発表したものの、実現となると相当ハードルが高いことが判明して、担当者が苦慮しているのだろう。

グループの結成は2016年に発表されており、2017年2月には岡田奈々(チーム4副キャプテン、2017年選抜総選挙9位)がキャプテンに就任し、2017年夏にデビューする予定だった。

劇場船の完成が遅れたために、デビューを半年ずらしたが、まだ目途が立たず、これ以上デビューを遅らせることができなかったため本日デビューとなったとのこと。

なお、2017年中は指原莉乃がHKT48との兼任およびSTU48の劇場支配人になっていたが、11月22日に退任した。

STU48のユニークな点はもうひとつあり、AKBグループのメンバーのほとんどが所属するAKSではなく、一般社団法人「せとうち観光推進機構」と株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションから構成される「せとうちDMO」が出資する株式会社STUが主体となり、地域活性化事業として運営することである。

デビュー前の歩みは以下の通り。

 

●2017年

1月16日、第1期生の募集を開始。

5月3日、広島市で開幕した「2017ひろしまフラワーフェスティバル」のステージにおいて、指原を除くメンバー32名(当時)がお披露目。

5月31日リリースのAKB48の48thシングル「願いごとの持ち腐れ」劇場盤のカップリングに、STU48初のオリジナル楽曲「瀬戸内の声」が収録。

6月3日、イオンモール岡山内にある「おかやま未来ホール」において、STU48として初のライブイベントを開催し、パフォーマンスを初披露。

9月29日~11月25日、瀬戸内7県をめぐる初のライブツアー「STU48瀬戸内7県ツアー〜はじめまして、STU48です〜」を開催。

●2018年

1月6日、東京・秋葉原AKB48劇場で昼夜出張公演を開催。

1月21日、TOKYO DOME CITY HALLにおいて、東京では初となる単独コンサート『STU48単独コンサート〜ファンになってください〜』を開催。

1月31日、キングレコードよりメジャーデビューシングル「暗闇」を発売。

 

STU48の1期生31名の中には、ASH(アクターズスクール広島)出身者が4名含まれている。石田千穂(15歳)、今村美月(17歳)、大谷満里奈(13歳)、峯吉愛梨沙(13歳)の4名である。

ASHは、いうまでもなくPerfume、まなみのりさ、中元日芽香(元乃木坂46)、中元すず香(可憐Girl’s→さくら学院→BABYMETAL)、杉本愛莉鈴(さくら学院→モデル)、鞘師里保(モーニング娘。'14)、西脇彩華(9nine、Perfumeのあーちゃんの妹)などを輩出してきた、今や中国地方のみならず日本屈指の芸能スクールである。

AKBグループがついに中国地方に進出し、ASHからもメンバーが出ることとなったわけだ。

12月3日、広島グリーンアリーナ横の広島球場跡地で、旧事務所とのトラブルを経て、ローカルアイドルとして決意を新たに再出発したばかりのまなみのりさのフリーライブを見たメイトさんも多いだろう。

STU48もまた、広域ではあるが瀬戸内7県の地域に密着した活動をしていくことになるのだろう。

NGT48もそうだが、地元の劇場に「会いに行けるアイドル」でありながら、全国ネットのキー局に出るアイドル、という存在は強い。応援してCDを多く買い、総選挙で投票すれば、「おらが村のアイドル」が「全国区」になる。

今のところ、すでに「全国区」の知名度があるのはキャプテンの岡田奈々だけだが、今後NGT48の荻野由佳(5位)や本間日陽(10位)のように、選抜総選挙で上位に食い込むメンバーも出てくるのだろう。

以前も書いたが、AKB48は、アイドリング!!!とは違って、テレビのバラエティ番組がゴールではないし、そこに閉じこもってもいない。テレビやマスコミをスタート地点にして、「会いに行けるアイドル」=リアルな劇場公演とCDの売上をベースにしている。

BABYMETALが世界に進出したのとは真逆に、またテレビの中のきれいなアイドルが全国を巡業して回るという、正統派の「スター」路線をとる乃木坂、欅坂の46グループとも違って、AKB48グループは日本の地方をターゲットにするという戦略を鮮明にしたともいえる。

NGT48に続いてSTU48が地方活性化モデルとして成功すれば、東北の太平洋岸、北海道、南九州なども次の目標となるだろう。

AKB、NMB、SKE、HKTを都市型の水平展開、JKT、SHNをアジア展開、乃木坂、欅坂を少し色合いの異なる正統派への展開としたとき、NGT、STUの展開は、明らかにローカルアイドルの組織化という新たな戦略に基づいている。

これはアイドルの世界進出というBABYMETALの戦略の「足元」をすくうような、最も日本的で堅実な戦略である。しかもSU-METALのお膝元ASH出身のメンバーを入れた。

その意味で、原点であるAKB48と同じくキングレコード所属としたSTU48は非常に力が入っているように思う。東京の鉄道車両を丸ごと「ジャック」するような広告を打ったのも、その表れだろう。

動画サイトにあがっているCSスカパーのSTU48冠番組「イ申(いもうす)テレビ」を見ると、STU48のメンバーが、極寒の滝行とか、瀬戸内海縦断シーカヤックとかをやらされていた。特に後者は、大勢のスタッフがついているものの、まったく未経験のローティーンの女の子を、いきなり雨の降る海に連れていき、15kmの航海をさせるという無謀さ。笑いは一切ない。

同じCSスカパーファミリー劇場のAKB48「ネ申(ねもうす)テレビ」で、同じように無茶な修行をやらされた経験のある指原莉乃は、「これでみんな成長できるから」とか言っていたが、いったい何の成長なんだろうね。

芸人が過酷な状況に置かれて笑いをとるのとは違って、少なくともぼくはこれを面白いとも見たいとも思わない。こんな「修行」は、それを見るファンが同情して、疑似恋愛感情をいだき、CDを大量に買うという効果しかないと思う。

それがAKB流の「アイドル」というものなのだろうが、歌手や女優という一生の仕事の「修行」には全然ならないよね。

「アイドリング!!!」で、バカリズム升野英知がやったような、バラドルとして「前へ出る」「笑いをとる」リアクション芸の訓練のほうがまだマシだ。

1期生の持ち歌「Like a shooting star」や「大事なもの」は、番組での一生懸命さとのギャップで感動した。

それにしても、リアクション芸を難なくこなせるようになったら、未熟さがなくなったということで「卒業」になるのが「アイドル」である。

やはり、Negiccoやまなみのりさのように、地方の会場で、歌とパフォーマンスで、観客に楽しさとか安らぎとか感動を与える存在になるのが、本当のローカルアイドルではないのかなあ。そのための修行ならいくらやってもいいと思うけどね。

いずれにしても、メジャーデビューはめでたいことである。

どうか、怪我や事故のないように、地方在住のファンの心を動かし励ますような歌と笑顔とパフォーマンスで頑張ってほしいと思う。