2017年のBABYMETAL(3) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日、12月15日は、2016年、Red Hot Chili Peppers UKツアーのSpecial Guestとして、マンチェスターManchester Arenaに出演(2日目)した日DEATH。

 

<4月14日>Red Hot Chili Peppers US Tour2日目@アトランタPhillips Arena

<4月15日>Red Hot Chili Peppers US Tour3日目@ローリーPNC Arena

<4月17日>Red Hot Chili Peppers US Tour4日目@シャーロットSpectrum Center

ノースカロライナ州シャーロットは、日本国籍を離脱してアメリカ国籍を取ったぼくの妹がアメリカ人の旦那と住んでいるのだが、ほとんどの日本人が知らない町である。

だが、2016年のCarolina Rebellionに引き続き、今年もBABYMETALがそこでライブするという。

ぼくは、奇跡のような縁に打ち震えつつ、今年も妹の住んでいるシャーロットに行くことにした。

成田から10時間で乗り継ぎのデトロイトへ到着。

時間があったので空港の外へ出て、2016年にBABYMETALが単独ライブを行ったTHE FILMOREへタクシーで行ってみた。町はどことなくさびれた感じで、レンガが剥がれ落ちた建物がいたるところにあった。

THE FILMOREは繁華街から少し離れた通り沿いの古い映画館のようなライブハウスだった。

収容人員は2888人。単独ワールドツアーといっても、2015年~2016年は1000~2000人クラスのライブハウスツアーだった。これがトップバンドになると2万人のスタジアムツアーになる。だから、今年のレッチリ、KORNとのツアーは、去年とは断然規模が違うのであり、「前座から修行のやり直し」などではなく、よりBABYMETALを広く知らしめる、ステップアップしたツアーだったのだと今ははっきり言える。

最近、海外進出して「ワールドツアーやってます!」というラウド系アイドルやガールズバンドが増えて、「今年のBABYMETALは単独ツアーじゃないよなあ、前座だよなあ」と嘆く向きがあるが、会場の収容人数を調べてみればわかる。要するに2~3年前にBABYMETALが通ってきた道なのだ。

デトロイト空港に戻り、乗り継ぎの飛行機に乗って2時間ほどでシャーロット空港に着いた。ノースカロライナ州シャーロットは、デトロイトとは違って、東海岸の金融都市で、シェールガスの産出地にも近く、急激に発展している。人口は急増し、高層ビルがぽんぽん建てられており、地価も上がっている。

初日のライブをペリスコで見ていたので大きな流れはわかっていた。あとは体験するだけである。

会場のSpectrum Centerは、バスターミナルと地上の電車駅の近くにあった。妹に車で送ってもらい、開場2時間前に入り口に並んだときには、アメリカ人が数人しかいなかった。

もちろん彼らはレッチリファンで、特にジャック・アイアンズを見たくて早く並んだとのことだった。30分くらい前にようやく日本人発見。それがPAPIMETALさんとITCHIE-METALさんだった。

中へ入って、会場の大きさに驚く。NBA、NHLに使われるため、すり鉢状の客席が天井近くまで広がっている。日本でいえば野球場のイメージ。確かにこのあたりには近くにオープンエアの野球スタジアムとフットボールスタジアムもあり、エンターテインメントエリアとなっているのだ。

ジャック・アイアンズが終わると、もう会場は8割がた埋まっている。やはりせっかくだから、評判のBABYMETALのオープニングアクトを見よう、という客が多いのだ。ぼくの席はアリーナ中ほどだったが、隣のアンソニー命のおばさんも、「Cute, Good, Awesome」を連発していた。

ここで感じたのは、たった6曲なのに、BABYMETALのライブをしっかり見たという満足感が非常に高いということだった。

前に書いたように、2017年度、BABYMETALのフィニッシュ曲は4曲となった。

そのうち3曲がキー=E絡みである。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」はD♭mでスタートするが、最後には転調してEで終わる。「Road of Resistance」はF#である。

「THE ONE」はEで始まり、ブレイクで転調し、最後はC#で終わる。

そして「ギミチョコ!!」は頭から終わりまでずっとE。

同じ三度のメジャーコードでも、コードにはそれぞれ「色」や「感情」がある。

作曲者や演奏者によって異なるのだが、ぼくの場合、Cは黄土色か茶色、Fは青か藤色、Gはオレンジ、Aはピンクっぽい赤、Bは灰色か銀、Dは白か黄色、Eは黒か濃い紫。

コード教本にその色で描いてあるということではなく、長年ギターを弾いていて定着したイメージで、論理的にうまく説明できない。同じように、それぞれのコードが喚起する感情も、Cは真面目な感じ、Gは情熱的というか青春ソング的な感じ、Dは若々しく溌剌とした感じ、Bはアウトローな感じ、そしてEはどっしり落ち着いた感じになる。

だから、Eで終わる「イジメ」には終止感、完結感があり、フィニッシュコードでEが鳴らされると、「終わったー」という感じになり、「We are?」「BABYMETAL」のC&Rから「3,2,1」でジャンプして大団円。Sonisiphere 2014のあの感じになる。

その感じが、「ギミチョコ!!」でも味わえる。「♪パラッパッパッパーパーパパパパ」と歌い終わった瞬間、ドラムが入って、ジャーンとEのコードがかき鳴らされると、完結感があり、C&Rと「3,2,1」ジャンプとがハマる。

だから、短いセトリでも、「BMD」のブルータルさ、「あわだまかくれんぼ」の超絶ソロ+Cuteさ、「メギツネ」のオリエンタル・ファンクメタル、「KARATE」でSU-が達者な英語でコミュニケーションをとったフォーンライト煽りの後に「ギミチョコ!!」のフィニッシュコードEで、「大満足!!!」という感じになる。

2万人の大観衆に、30分でBABYMETALのいいとこをたっぷり見せ、心を動かす。理想的な戦い方ができたセトリだ。1月の韓国ソウルのときとは大違いである。

ちなみに、キー=Eの「THE ONE」は、どっしりした感じで始まり、「♪ララララー」からはフレットを2つ(1音)上げたF#になる。

このキーはレッドツェッペリンの「移民の歌」や、ガンズの「Paradise City」のキー。

どっしりしたEに比べると少し躍動感が加わった感じで終わるわけだが、ずっとキー=Eなので、フィニッシュ曲で「See You!」がなくても、三人を送り出した感じで終われるのだと思う。

アウトローなB(ストーンズ「Jumpin’ Jack Flash」)からフレット1つ(半音)上がると生真面目なCになり、さらにフレットを1つ(半音)上げたC#は、なぜかラッパのように輝かしい感じになる。だが、これこそOnly OneのBABYMETAL道のアンセムたる「Road of Resistance」に相応しい。

こんな風に、BABYMETALの楽曲キーは、本当によく考えられているのだ。

一見後戻りに見えた大物バンドとの前座ツアーで、メインストリームのロックファンへの知名度を上げるという戦略と、短いセトリだが、フォーンライト煽りやEフィニッシュの「ギミチョコ!!」終わりという、BABYMETALの良さを最大限アピールする戦術。2017年のBABYMETALは、やはり進化していた。

終演後、PAPIMETALさん、ITCHIE-METALさんと三人で食事をした。大きなお札しかなかったので、PAPIMETALさんがカードでさっと払ってしまわれた。そのご縁で、ハリウッドにも行くことができ、それまでボッチ参戦だったぼくに、海外組も含めて、メイト仲間がどんどん増えていくことになった。大感謝である。

(つづく)