知恵の書(4) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日11月18日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

7.三種の神器

来る12月2日-3日の広島グリーンアリーナ「Legend “S”-洗礼の儀」では、入場の際、参加者に「三種の神器」が配布され、それを「着用」してライブに臨むのだと、公式サイトでアナウンスされている。


 

三種の神器とは、いうまでもなく、わが日本国の建国神話(古事記、日本書紀)に記載され、現在もなお、天皇家が代々継承する至宝である八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)別名天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)のことである。

(三種の神器)

 

ユダヤ-キリスト教風の儀式や、魔法陣を用いた「召喚」、メタルネーム、偽ルーン文字といった西洋オカルティックなBABYMETALのギミックに、ついに日本神話が加わることになったわけだ。

『古事記』によると、日本神話の最高神である天照大神(アマテラスオオミカミ)が、孫の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に天孫降臨を命じた際、この三種の神器を授けた。それで三種の神器が正統な皇位継承の要件となった。

現在、八咫鏡の本体は伊勢神宮内宮に、八尺瓊勾玉の本体は皇居内に、天叢雲剣の本体は熱田神宮にあり、天皇の代替わり=践祚(せんそ)の儀の際には、八尺瓊勾玉本体と、鏡と剣のレプリカ=形代(かたしろ)を継承する。

ただし、この鏡・玉・剣の組み合わせを正統の証とする風習は、天皇家だけでなく、他の日本古代豪族にもあったようだ。(ウィキペディア「三種の神器」より)

BABYMETAL神話における主祭神は、メタルの神キツネ様=お稲荷さんであり、その本名は素戔嗚尊の娘、宇迦之御魂神(ウカノミタマ)である。別名三狐(ミケツ)の神、仏教では巨大な白狐に跨った荼枳尼天(ダキニてん)とされる。

天照大神と素戔嗚尊は姉弟だから、日本神話の最高神、天照大神はキツネ様の伯母さんに当たる。

瓊瓊杵尊は天照大神の「孫」。ということはそのお父さん、つまり天照大神の「子」もいるわけで、その子は天之忍穂耳(アメノオシホミミ)という。さらにそのお父さん、つまり瓊瓊杵尊のおじいさんは誰?と調べていくと、なんと天照大神の弟の素戔嗚である。

天之忍穂耳以下の五皇子は、天照大神と素戔嗚の誓約(ウケヒ)=恐れ多くも“近親相〇”によって生まれたとされるからだ。

そのあと素戔嗚は粗暴が過ぎて高天原を追放され、出雲の国に下って、キングギドラ、じゃなかったヤマタノオロチを退治して、人身御供だったアンドロメダ、じゃなかったクシナダ姫を娶り、さらにクシナダ姫の両親の主筋に当たる地元の有力者、大山祇(オオヤマツミ)の娘、神大市比売(カムオオイチヒメ)をも娶る。この人との間に生まれたのがキツネ様=宇迦之御魂神である。

神大市比売は「市」の字が入っているので、市場を司る神で、しかも天照大神が岩戸隠れしたときに歌い踊った天之鈿女(アメノウズメ)でもあるとされる。つまり、神大市比売は音楽市場の神なのである。そのお母さんと荒ぶる素戔嗚尊から生まれたキツネ様=宇迦之御魂神が、メタルの神であるのは当然なのだ。(^^♪

天照大神-天之忍穂耳-瓊瓊杵尊の系譜を天津神系というのに対して、素戔嗚尊と最初の奥さんクシナダ姫との間に生まれた子の家系は、大国主=大物主に連なり、国津神系という。

瓊瓊杵尊のさらに「孫」が初代神武天皇で、その奥さん伊須気余理比売は大物主の家系なので、天津神系と国津神系が再び合体して始まったのが万世一系の父系天皇家ということになる。

一方、素戔嗚と二番目の奥さん神大市比売との子には、長女キツネ様の他に、大歳神(オオトシカミ)という神がいる。この神も穀物神とされ、収穫の時期になると村々を訪れる来方神、つまり巡業ツアーに明け暮れている神らしい。(^^♪

この二神で、キツネ様の系譜は日本神話から途絶えてしまうのだが、キツネ様と大歳神への信仰は、庶民に連綿と受け継がれ今に至っている。日本で一番多いのは稲荷神社であり、油揚げで酢飯を包んだ「お稲荷さん」と、節分に大歳神のいる方向=恵方を向いて丸かぶりすると縁起が良いとされる「恵方巻」は、日本人なら誰でも知っている。

(伏見稲荷の千本鳥居)

 

ウィキペディアによると、当時の豪族はみな「正統」の証として、三種の神器を継承していたというから、「Legend “S”-洗礼の儀」で使われる三種の神器とは、皇室のものとは違い、キツネ様の家系に伝わる神宝ということなのだろう。

ただ、「洗礼の儀」では、その三種の神器は、キツネ様に召喚され、「神になる」といわれるSU-METALではなく、参加者に配布されるというのが腑に落ちない。

三種の神器を正統の証として継承するということではないようなのだ。

まあBABYMETAL神話自体がパロディなのだから、三種の神器の継承とか、鏡・玉・剣という形態にこだわる必要は全然ないのかもしれない。

では「洗礼の儀」で用いられる三種の神器とは、どんなものなのだろうか。

ライブ会場で着用できるということ、1万人に一斉配布するということから、三種の神器は一体型ではないか。東京ドームのような演出効果を考えると、光るのかもしれない。

さらに、再来年にはYUI、MOAの「洗礼の儀」もあるだろうから、今回は、三種の神器のうち、最初の「鏡」だけということもありうる。

BABYMETALの振付には、途中で倒れてから起き上がるというのが多い。(「ド・キ・ド・キ☆モーニング」、「KARATE」、「Amore-蒼星-」)

勝手な想像だが、頭にかぶるハチマキ状のものにお医者さんみたいな鏡がついていて、それが光って、神となるプレッシャーに倒れてしまったSU-に、観客が力を与える劇場版「プリキュア」みたいな演出だと面白いな。

ただそういう疑似皇位継承儀礼と、キリスト教の「洗礼」とはまるきり意味が違う。

キリスト教では、洗礼とは、神によって洗い清められ、「人として」新しく生まれ変わるという意味で、信仰生活をスタートする儀式である。洗礼を受けて神になるということはあり得ない。

神が洗礼を受けたという例は、唯一、イエス・キリストが「人として」生を享け、洗礼者ヨハネ(ジャンバチスト)によって、ヨルダン川で洗礼を受けたとき、天使が歌ったという「新約聖書」の逸話だけである。

(レオナルドダヴィンチ イエスンの洗礼)

つまり、「Legend “S”-洗礼の儀」では、「三種の神器」は、ぼくらメイトが着用するもので、SU-METALの「正統」を示すために継承されるわけではないようだし、「洗礼」の意味もオーソドックスな意味とはだいぶ違う。

だが、ぼくのコジツケによれば、メタルの神キツネ様とは、天照大神の弟=素戔嗚尊と、音楽市場の神=神大市比売との娘。「洗礼の儀」を通じてキツネ様に召喚されたSU-METALが、苦しい修行の日々を経て、遂に「神になる」ということは、“音楽市場における裏天皇家”を継承するということなのである。

いやはや、幼い頃メロイックサインを影絵のキツネさんだと勘違いしたBABYMETALの三人は、ついにとんでもない神話体系に連なることになってしまった。

もちろん、これもパロディだけどね。

さて、「洗礼の儀」まであと2週間。

THE ONE 二次申込み、12月3日モッシュッシュピット、おかげさま当選しました。2日、3日広島、全力レポートいたします。

(この項、終わり)