猿とテクノオリエンタリズム(1) | 私、BABYMETALの味方です。

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★今日のベビメタ

本日11月7日は、2016年、テレビ東京「Youは何しに日本へ」で、NHK「BABYMETAL現象」で有名になったイギリス人メイトの23年さんことLee David Carteさんが来日し、東京ドームに参戦、日本人メイトと交流した際の密着取材が放送された日DEATH。

ぼくは去年のライブビューイング@Zepp Tokyoと、先日の巨大キツネ祭り@SSAでお見かけし、言葉を交わしました。

 

20世紀FOX映画「猿の惑星」には、1968年に公開された第1作から1973年に公開された5作目の「最後の猿の惑星」までの旧シリーズと、2001年に公開されたティム・バートン監督の「The Planet of the Apes/猿の惑星」、および2010年以降の「猿の惑星:創世記」(2010年)、「猿の惑星:新世紀」(2014年)、「猿の惑星:聖戦記」(2017年)の新シリーズがあり、構成がチトややこしい。

ぼくはこの映画も好きで、旧シリーズは全作見た。60年代後半~70年代前半の、チープでサイケな未来都市のセットや音楽がたまらない。

旧シリーズ全体のあらすじを、物語世界の時系列に沿って年表にまとめてみる。

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1973年の少し前

アメリカ人宇宙飛行士テイラー大佐ほか乗組員は、亜光速宇宙船で外宇宙の探検に出発する。(第1作)

テイラー船がなかなか帰還しないため、ブレント少佐らが救出に出かける。(第2作)

1973年

テイラー大佐の乗っていた宇宙船がワシントン沖の大西洋に着水する。(第3作)

中から出てきたのは、アメリカ人宇宙飛行士ではなく、ひとつがいの猿、ジーラとコーネリウス夫妻だった。

最初はただの猿と思われたが、言葉を話せることがわかり、一転、スター扱いとなる。

だが、未来は猿が人類を放逐して地球の支配者となる「未来の歴史」がわかると、人間たちは再び態度を変え、ジーラとコーネリアスを迫害し、ついには殺してしまう。(第3作「新・猿の惑星」)

1974年~1993年

ジーラとコーネリウスが殺された後、“未知のウィルス”により、犬や猫が絶滅、人間は猿をペットにするようになる。

猿は話せないが、調教するとよく働くので、やがて人口が減った人間の代わりに、奴隷として使役されるようになった。

1993年~2003年

殺害されたジーラとコーネリウス夫妻には遺児マイロがいた。優しい人間のアーマンドが経営するサーカス団に匿われていたマイロは、街で虐待される猿を見て思わず言葉を発してしまい、警察に追われる身となる。奴隷猿に紛れるうち、優秀な猿として権力者ブレックに買われ、名前をシーザーと変えられる。だが、20年の長きにわたって「言葉を話す猿」を匿った疑いにより、アーマンドが警察で尋問を受け、殺されたことを知ったシーザーは、復讐を決意。この辺は旧約聖書のモーゼを思わせる。

シーザーをリーダーとして、猿による革命が起こる。数に勝る猿が勝ち、シーザーは猿が地球の支配者となったことを高らかに宣言する。(第4作「猿の惑星:征服」)

2003年

シーザーは荒野に新たな王国を築き、人間を召使として暮らしていた。

だが、人間に融和的なシーザーと、人間を敵とみなすアルドーが対立。そこへ猿への復讐を誓う人間のゲリラ軍のリーダー、コルプが襲撃してくる。だが、シーザーは人間のゲリラ軍を撃退し、シーザーの一人息子を殺したアルドーも粛清して、猿と人間の共存を宣言する。

2670年

その666年後、シーザーは猿たちの「神」となり、先生が子猿と人間の子どもたちにシーザー物語を読み聞かせている。(第5作「最後の猿の惑星」)

3955年の少し前

さらに1285年が経過。アメリカ人宇宙飛行士テイラー大佐を載せた宇宙船が、着水。冷凍睡眠から目覚めたテイラーは、この惑星を猿が支配する姿を見て衝撃を受ける。

退化して言葉を話せなくなった人類の末裔の女ノヴァとともに捕まったテイラーは、動物研究所に収監される。だがテイラーは、学者のジーラとコーネリアスの猿夫妻の協力で研究所から脱出し、ノヴァを連れて海岸線を旅する。そこでテイラーが見たものは、砂に埋もれた自由の女神像だった。猿の惑星とは、核戦争で人類が滅びた遠い未来の地球だったのだ。(第1作「猿の惑星」)

3955年

テイラー大佐を救出するため、猿の惑星に到着したブレント少佐は、核兵器を崇める、退化した人類のコロニーの王となったテイラーを発見。猿軍団との戦闘の果てに、ブレント少佐も、愛するノヴァも死に、絶望したテイラーは核兵器を爆発させ、3955年、地球は消滅する。(第2作「続・猿の惑星)

だが、地球爆発の際、ジーラとコーネリウスの猿夫妻は、テイラーの乗ってきた宇宙船に乗って地球を脱出していた。

爆発エネルギーによってタイムスリップしたジーラとコーネリウス夫妻は、1973年のワシントン沖に着水する。(第3作)

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というふうに、プロットは旧シリーズ3作目の1973年と、その約2000年後の3955年頃に起こった出来事とがループしている。

第3作で、犬猫が死滅し、猿がペット~奴隷になった原因の“未知のウィルス”とは、おそらく未来の地球からジーラたちが持ち込んだものだろうし、ジーラたちの息子、言葉を話せる優秀なシーザーがいなければ、猿の革命は起こらない。タイムスリップによるパラドクスが起こっているのだ。

現在公開されている新シリーズは、旧シリーズの第4作「猿の惑星:征服」を下敷きにしていると思われるが、新シリーズの第1作に当たる「猿の惑星:創世記」は、この旧シリーズのタイム・パラドクスを解消するべく、別のプロットとなっている。

アルツハイマーの特効薬ALZ112を投与された母猿から生まれ、知能が向上したシーザーが、人間に復讐するために、その薬の量産バージョンALZ113を仲間たちに配り、知能を向上させて革命を起こすところから新シリーズがスタートする。

その薬は別名「猿インフルエンザ」で、パンデミックが起こり、抗体を持たない人間が死滅したため、文明の崩壊が起こったというのが新シリーズ第2作の背景になる。

ちょっとご都合主義で、ぼくはパラドックスに満ちた旧シリーズの方が好きである。

だが、ぼくが言いたいのはそんなことではない。

(つづく)