『Kerrang!』ロングインタビュー | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日9月8日は、過去BABYNETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

UKのRichが『Kerrang!』1682号を送ってくれたので、P.40-41に掲載されたBABYMETALインタビューの全文を翻訳してお届けする。

K!:ハロー、BABYMETAL。君たちはとても忙しい1年を過ごしているようだね、まだ8月なのに!君たちの最初のギグは韓国でのMETALLICAのオープニングだった。君たちの好きなMETALLICAの曲と一緒にプレイしてみたい曲は何?

SU-:私の好きな曲は「Fuel」です。選ぶには偉大な曲がいっぱいあり過ぎますが、この曲を聴くといつも気合が入ります(Pump Up)。METALLICAのサポート・バンドになると聞いた時には、夢が実現した!と思いました。楽屋に挨拶に行ったとき、リハーサル中だと聞いて、「私たち、これを聴いてもいいの?これはとんでもなく価値ある経験だわ!」みたいに思って興奮して、心臓がドキドキしました。

YUI:「Master of Puppets」です!METALLICAの前座になれるなんて思ってなかったので、とても驚き、幸せな気分でした。次回、いつの日か、ステージでコラボできたら、もっと光栄なのだけど。

MOA:2013年にサマーソニックで初めてMETALLICAを見たときは、そのパフォーマンスに吹き飛ばされそうでした。だから、“メタルマスター”が私たちをサポートに招いてくれたのは、信じられないくらい光栄でした。私たちは多くのことを彼らから学んでいますし、この機会を与えてくれたことに、言葉で言い表せないくらい感謝しています。

K!:君たちの次のギグは、Guns N’ Rosesの日本縦断ツアーのサポートだったね。アクセル・ローズはどうだった?

SU-:私の父は、熱烈なガンズファンなので、サポートすると聞いた時、幸せだと思うと同時に少しナーバスになりました。でも、彼らとお話ししたとき、彼らが私たちの曲を聴いたり、パフォーマンスを見たりすることが好きだと聞いたので安心して、とても幸せな気持ちになりました。

MOA:ガンズに会ったときは、とても緊張しました。(Nerve-Wrecking)とても有名なバンドだけど、素敵な人たちで、全員一緒に写真を撮ってもらえたのは信じられませんでした。アクセルにキツネのお面をプレゼントし、スラッシュはFunkoのBABYMETALフィギュアを喜んでくれました。

K!:それから君たちはレッチリとともにアメリカに向かったんだよね。アメリカでお気に入りの場所はどこだい?

SU:私はアメリカのすべてが好き-特に人間が。言葉では表現しにくいのだけど、アメリカの観客の反応は、日本人とは全然違ってて、その違いを見るのはとても面白い。私たちがほとんど日本語で歌っているのに、アメリカ人が楽しんでくれているのを見るのは新鮮です。ツアーから帰るといつも自分がエネルギーに満たされた(absorbed)ように感じ、同時に自分が人々の中で大きく成長したんだと感じます。

YUI:素晴らしい場所がたくさんありますが、大好きなのは海で、私たちがマイアミ・ビーチに行ったときは、スペシャルな時間を過ごしました。

(Jaytc註:レッチリツアー終了後、三人がビーチで遊んだことがわかる。)

K!:で、KORNとSour Stoneの番になるわけだね。ジョナサン・デイヴィスとコリイ・テイラーからそれぞれ、何を学んだんだい?

MOA:個人的には、これまでのツアーでたくさんのことを学びました。最も大きいのはどうやって私たちが表現したいことを観客に届けるかということです。彼らが毎回のショーを輝かせるやり方は、実に素晴らしいです。KORNは私たちのショーを見てくれて、サプライズとして、ステージにも上がってくれました。

SU-:このツアーはとってもユニークなもので、多くの会場が野外で、明るい光の中で観客の顔がはっきり見えるのは新鮮でした。ステージを去る前に、KORNは私たちに時間をとって幸運を与えてくれさえしました。(Jaytc註:ギミチョKORNのこと)Sour Stoneのコリイ・テイラーは、私たちがプレゼントしたキツネマスクと、息子さんのためのBABYMEALフィギュアを喜んでくれ、それを見てとてもハッピーでした。

YUI:コリイはすぐにそれを被ってくれたのよ。

K!:故郷からもっとも長く離れたことはどう?一番辛かったことは何?家が恋しくならなかった?

MOA:もっとも長く故郷を離れたのは20日くらいじゃなかったかな。食べられないものはないし、私は新しい食べ物を探してチャレンジするのが大好きなのでラッキーでした。

SU-:最長は一か月くらいじゃないかな。離れていると日本の食べ物と家族が恋しくなりますね。

YUI:短い期間で、できるだけ環境に合わせなければならないのが一番大変ですね。

K!:今は、5大キツネ祭りに向けて準備中だと思うけど、それについて言えることは?それを始めたいと考えた理由は?

SU-:私たちは、性別、年齢、それに厳しいドレスコードのイベントをやっています。

私たちはこれらのイベントを、ライブハウスで行うので、ファンの方たちをより近い距離で見ることができます。毎日違う会場と観客を知ることはとてもエキサイティングなことで、ファン同士がお互いに知り合い、仲間になるのを楽しんでくれることはもっと素敵なことです。なぜならファンに近くなるほど、私はファンとつながっていると感じるからです。いつの日か、こういうイベントが日本以外のどこでもできるようになることを望んでいます!すでにキツネ様にお祈りしています。

MOA:すべてはキツネ様から来ます。でもMOATEMALとしては、いつでも違った観客の前でパフォーマンスしたいと思っています。全員女性のイベントでは、同じ女性の前でパフォーマンスできることで、ニヤニヤを止められませんでした。今回は、これまでやらなかった金キツネ祭り-全員10代-や銀キツネ祭りなどで、ファンがどんな反応をしてくれるかを見られることに、とても興奮しています。

様々な違った人種、性別、年齢の人たちが来ると、摩擦が起こることがありますが、メタルの魂は不可能を可能にするのです。私たちはThe Oneであり、私たちならできます(We can do it)それは、お互いを知ること、違いを尊重することだと思います。

K!:いく晩か、君たちはファンにコープスペイントを要求しているね。君たちもその機会に同じようになりたいと思わないかい?

YUI:私たちは、普通のメイクをするんですけど、もしキツネ様が白塗りを許してくれるなら、やってみたい気持ちはあります。

MOA:ダメよ!私たちはパフォーマーで、BABYMETALをお客さんに届ける使命があるんだから。でも、まあ確かにいつかやってみたいとは思うけど(笑)。

SU-:コープスペイントのイベントは本当に面白くて、全員がコープスペイントしているから、私たちだけ取り残されてるみたいな気がして!いつか私たちもやりたいです。

K!:今年の経験で、君たちは人として成長した?

SU-:今が8月なんてとても信じられません。まるで2年も経ったみたい!今年(の経験)がどんなに大きかったかということですね。光栄なことに、伝説のバンドを身近に観て一緒にツアーできたことは、得難い経験でした。バンドのメンバーの温かい人間性が、これほど長い期間にわたって、人々が彼らのショーを見たいと思わせるんだと実感できました。BABYMETALもそうなれることを望んでいます。

MOA:一人のアーティストとして知識や経験においてずいぶん進歩しましたし、人としても成長できたと思います。MOAMETALは一人のアーティストですが、その前に一人の人間であり、そのことを忘れてはいけないと思います。毎日、私に学ぶ機会を与えてくれる周りのすべての人に感謝しています。

YUI:今年は大物バンドの前座を務める多くの機会がありました。私たちはまた、色々な場所で新しく、異なるファンベースに会うこともできました。そういう様々な経験の中で、YUIMETALとして進歩したと感じますし、大人になったとき、人々の中で大きく成長させてくれたな、と思いたいです。

K!:次のBABYMETALはどうなるの?今年の経験は、君たちの将来についてのキツネ様の決定を知らせているのかな?

MOA:私たちは本当にキツネ様を信じていますから、彼の判断を信頼していますし、私たちの道を、最終目的地まで導いてくれると信じています。私は、キツネ様がこんなふうに独り言を言っているのではないかと思います。“俺は、自分でもBABYMETALの次の5年間に何が待っているのかわからないんだよ”って。

私は、この先の将来がわかっちゃうのは面白くないから、一瞬一瞬の宝物を確かめながら、将来については、あまり考えすぎないようにしたいと思っています。

(『Kerrang!』1682、P.40-41、翻訳:jaytc)

 

「人として成長したか」に焦点を当てたインタビューは珍しく、もいもいが「MOAMETALとしては…」「YUIMETALとしては…」と答えるのは、2014年度卒業式の答辞を思い出してちょっとドキドキする。

でも、最後のMOAの締めの言葉で、三人はアーティストとしての経験を積みながら、それを感謝しつつ、日々成長していると感じた。

それとは違った角度で見ると、去年は東京ドームに11万人を集め、大物バンドと全英、全米ツアーを行う人気バンドBABYMETALが、性別、年齢、ドレスコード(コープスペイント)によって観客を限定するライブ、しかも小さな会場で5種類の“Fox Festival”を実施することは、日本のマスコミではたいして話題にならないが、メタルの本場UKでは、相当面白がって受け取られていることが、翻訳原文の端々に感じられた。

あの手この手のギミック、話題性で売るのがメタル界。

METALLICAでさえ、4人がライブ中で行う「和太鼓パフォーマンス」が「Hard Wired to Self-Distract」ツアーのハイライトになっている。(『Rolling Stone』US版など)ソウルではやらなかったけど。

少なくとも『Kerrang!』に代表される欧米のロック系メディアでは、遠く離れた日本で「BABYMETALがまたヘンなことをやっている!」というのは、格好のネタになっているのだ。このウケ方だと、来年は欧米でも限定ライブが行われるかもしれない。

日本で男女、身長などで観客を限定するライブは、2007年に、長渕剛(!)が女性限定ライブを行ったのが嚆矢で、2010年にはGACKTが男性限定、水着限定、重ね着限定ライブ、嵐が男性限定ライブを行っている。

ももいろクローバーZは2011年、秋の2大祭りと称して、「男祭り」「女祭り」を開催。

ところが2015年、福岡県太宰府天満宮前での「男祭り」開催に対して、地元の「市民団体」が「抗議」して話題となった。ももクロが3年連続出場していたNHK紅白歌合戦の選に漏れたのは、これが原因だったとぼくは思っている。クソみたいな話であり、「紅白を卒業します」という百田夏菜子の涙の宣言は、「早見あかりとの約束はどうした」とか「大御所でもあるまいに」とか、当時ネットでさんざん議論となったが、今となっては圧倒的に正しい。

2016年、NHKはナチス風コスチュームでニューヨークのユダヤ人団体から抗議を受けた欅坂46と秋元康PのAKB48、乃木坂46は出演させているのである。そっちはどうでもいいのね。何度も恐縮だが、本当にウンコみたいな話だ。

「紅白卒業」とは、紅白歌合戦を頂点としたメディアの音楽業界支配からの訣別を意味し、以降、ももクロが、ラジオ、BS、ネット配信など自前で運用できるメディアと、モノノフ企業のCMにしか露出しない方針(という風に見える)で、さらにライブ動員数を増やしているのは、凄いことだと思う。

巨大勢力“アイドル”と戦うBABYMETALは、結成当初からこうした業界構造と距離を置いてきた。求められれば条件をつけて出演するが、こちらから膝を屈して売り込むことはしない。

当たり前のことだが、視聴者の心を動かすコンテンツを提供するアーティストこそ主役なのだ。マスメディアが自分たちの都合のいいようにアーティストやニュースを作るという傲慢な時代は、インターネット時代の到来とともに終わっているのだ。

テレビに縛られなければ、すでに日本のアイドル文化、ロック文化は、広大な世界のシーンと地続きである。ちなみに『Kerrang!』1682のReviewのページでは、ぼくがRIJで見て燃えた日本のメタルバンドCROSSFAITHの新譜-Enter ShikariのRou Raynolsのパニック障害からの復帰と絡んで、彼をフィーチャーしたEP「FREEDOM」-が紹介され、上から2番目のKKKKのランクだった。

Japanese Invasionは着々と進行している。

それをはっきりと認識できたのが、今回の『Kerrang!』記事だった。