サマーソニック参戦記(2)Passcode | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日8月22日は、2012年、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」MVが100万ビューを突破した日で、2015年には、フジテレビ「めざましテレビ」でBABYMETALが報道された日DEATH。

 

「巨大キツネ祭り in JAPAN」の開場時間が変更になったとのメールが公式より届きました。金属探知機による検査を厳重化するという理由で、当然の措置と思います。

問題は物販ですけど、サマソニでもプラチナの利点を生かせず、Tシャツを買えなかったぼくとしては、東京ドームと同じようにThe One限定の事前予約制にしてほしいと思いますな。現場で買えないとなると、The Oneに入るメリットが出てきますし、受注生産なら無駄も出ないでしょ。オークション転売も防げますし。

 

9月26日・27日さいたまスーパーアリーナ、10月14日大阪城ホール

→開場17:30 開演19:00

10月15日大阪城ホール

→開場15:30 開演17:00

 

また、巨大キツネ祭り最終日の翌日、ライブ・ビューイングが行われることも公表されました。

10月16日18:00開場19:00開演

東京Zepp Diver City

名古屋Zepp Nagoya

大阪Zepp Osaka Bayside

 

サマソニ参戦記の続き、というか朝から、順を追ってご報告いたします。

幕張会場は、大きく幕張メッセ(屋内)とマリン(ZOZOマリンスタジアム、ロッテの本拠地)の2つの会場に分かれている。距離は600-700メートル離れている。

一般のリストバンド交換所は、両方にあるのだが、プラチナチケットのリストバンド交換は、メッセ会場前しかない。

一方、物販所は、サマソニ2017のオフィシャルグッズだけの所とアーティストグッズも併設された物販所がある。メッセ会場のアーティストグッズ物販所は、リスバン交換後、入場後でないと行けない位置にある。

今回はプラチナなので楽勝と思って、開場1時間前の8:00にまずはリストバンド交換所前に並んだ。ところがプラチナ列はベビメタTシャツを着た方がほぼ半数という状況で、一般列の数倍の長さになっている。8:30に交換が始まったが、一般はすいすい行くのに、プラチナの方が遅い。

ようやく腕にプラチナのバンドと、R側入場を示すオレンジのリボンをつけてもらったところで、致命的なミスを犯してしまった。10:15のPasscode始まりで、物販はメッセにもあるから、入場したらアーティストグッズ売り場へ行き、プラチナ特権でベビTも買えるだろうと思ってSonic Stage入場待機列に並んでしまったのだ。実はベビTはマリンにしかなく、それも30分で完売という状況だったのだ。本当はプラチナバンドをつけてもらったらすぐにマリンへ行き、物販列に並ぶのが正解だったのだ。快適なシャトルバスでさえ往復を回避したジジイの大失敗である。

まあ、グッズと最前列に執着しないというのがぼくのスタンスだから、いいとしよう。

Sonic Stage待機列の前には、チェスター・ベニントン追悼のモニュメントがあった。彼の死によって、BABYMETAL同様、大物バンドであるリンキンパークとアメリカ巡業をする予定だったOne Ok Rock兄さんたちのツアー予定がふっとんでしまった。

いろんな事情があるのだろうから、自殺したことをあげつらっても空しいだけだ。黙とう。

入場後、アーティスト物販所に直行。プラチナ列に駆け込み、「ベビメタTはありますか」と聞くと、黄色いスタッフシャツを着た若いおねいさんは「邦楽ですか?」と聞く。「へ?」「どちらの会場に出演されますか?邦楽のアーティストさんは出演会場の物販所にしかないので…」とのこと。選択を間違えたショックと、アルバイトとはいえ、スタッフのおねいさんがメインステージの2ndヘッドライナーのBABYMETALを知らないことの二重のショックを受ける。

ここからマリンへ行って、10:15までに戻ってくることは可能だ。だが、その時点でベビTが残っているかどうかは、昨日の大阪の状況を考えればほぼ絶望的だろう。

仕方ない。ソウル、大阪ドームに続いて、グッズ断念。今日見て気に入ったバンドのグッズを買って帰ろう、と気持ちを切り替えた。

Passcodeのステージに入る。一般の最前列付近はまだまだ少なく、柵前2列目に立てた。だが、今日は長丁場になるし、朝から1時間立って、圧縮に耐えることを考えると、きついなあと思い直し、外でタバコを喫ってから、下手のプラチナエリアに入りなおした。柵前に陣取ると、ベビTを着たスキンヘッドの男性が、「少ないですね」と話しかけてきた。今日一日の友となるUさんである。ぼくもレッチリトーテムTを着ていたのでメイトと認識してくれたようだ。彼は40歳で独身。東京に実家があるが、仕事場は名古屋とのことで、有休をフルに使って、ベビメタのライブに足を運ぶ、メイトさんの鑑のような方だ。身近にはメイト仲間がいなくて基本ボッチ参戦、ベビメタはアイドルであるという信念の持ち主でもある。気が合いますね。

徐々に増えてくる観客のうち、3割くらいはベビメタTを着ている。オープニングアクトらしく、若いメンバーによるバンドのリハーサル、照明の調整が延々と続く。

定刻10:15、イントロに続いて上手袖から、Passcodeの4人が飛び跳ねるようにステージに登場。

セットリストは以下のとおり。

1.Miss Unlimited

2.Bite the Bullet

3.Trace

4.Axis

5.Club Kids Never Die

6.Seize the Day!!

7.One Step Beyond

1.から3.までは、最新「Zenith」からの選曲。今のPasscodeの思いや勢いを象徴する曲だ。CD音源では、オートチューンで加工されたアイドルロボ声と今田夢菜のグロウルの混沌が強調されている気がしたが、実際に見ると全然違った。

南菜生、高嶋楓、大上陽奈子が交互に取るボーカルは、オートチューンが最小限に抑えられ、みな素晴らしい歌唱力だった。特にポニーテールにした大上陽奈子の声質・ピッチは特筆もので、よく伸びる高音と遠くへ届く表現力を持っていると思った。

そして、ショートカットを振り乱し、かがみこむようにシャウトする今田夢菜のグロウルは、透き通った声の3人に対して、心の底から訴えかけるような切なさに満ちた、このように表現するしかない少女の純情の表現のように感じた。

そう、Passcodeにまず感じたのは、純粋で、ひたむきで、アイドルらしい清純さにみちた真摯な表現者であるということだった。

ダンスも素晴らしかった。振付も手作りなのかもしれないが、変幻自在に変わるテンポに合わせて、きっちりとフォーメーションが考えられていて、動作もよくキレている。

へそ出しの未来人っぽいコスチュームも、曲調に合っている。

ロックの魅力が、どうしようもない素行の不良少年の純情にあるように、アイドルとはまずもって清純でなければならない。だが、テレビに出てくる「アイドル」の多くに、ぼくは「売らんかな」の打算とか、私生活の不潔さとか、水着とか握手の接触を厭わない上昇志向の下品さ――を感じたりもしてしまう。

Passcodeだって握手会やサイン会をやるし、メジャーになりたいという上昇志向はあるのだが、それが下品ではない。純情でひたむきで、すがすがしいのである。

それは、平地孝次プロデューサー以下、若いスタッフが、経験不足のプレッシャーと闘いながら、やはり真剣にアイドル界・音楽業界、そして世界と対峙しているからだろう。

「儲けるためのシステムづくり」ではなく、「良い作品」を作ることがメジャーになる第一義であるというごくごく当たり前のことが、このチームには貫徹されていると思った。

4曲目「Axis」と5曲目「Club Kids Never Die」はインディーズ時代からの曲。クラブシーンに音楽的ルーツを持つバックグラウンドがよくわかる。

ここで南菜生は気合の入りまくった表情で、客席をどんどん煽っていく。

客席は1曲目からMosh、ダイブの嵐だったのだが、Sonic Stageの半分くらいを埋めた観客の中に2つ、3つとできたサークルピットの渦がさらに加速する。やっぱり、ジジイにはプラチナでよかった。

そして、南菜生は叫んだ。

「いつかかならずメインステージに立ちます。その日まで応援してくれますか!」

昨年、サマソニに初出演したPasscodeが立ったのは、2012年のBABYMETALと同じく、フードコート脇のミニステージだった。前後するが、12:15からのTOTAL FATが終わった後、マリンに移動するためにフードコートを通ったとき、ジャングルステージという名前になったその場所で、Cy8erというアイドルグループがカラオケで踊っているのを見た。

 

タイムテーブルによると、アイドルグループが入れ替わり立ち代わり出てくるショーケースプログラムだったらしい。

すぐにショーが終わってしまったので、階段を昇っていくと、PAコンソールが置かれたステージの下手に当たる袖が上から丸見えだった。女の子たちは、そこで水を飲んだり、汗を拭いたりしていた。

BABYMETALも、2012年にはここで、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」を歌い踊っていたのだ。だから中学1年生だったMOAはフードコートの後ろの方で「ご飯を食べている人が見えた」と言ったのだ。

それが、今年はFoo Fightersと並んでメインステージに立つ。BABYMETALは、ここから始めねばならないすべてのアイドルのロールモデルになったのである。

南菜生のコールにこたえて、観客は「ウォー」と雄叫びを上げた。

フィニッシュ曲は、「Zenith」からの「One Step Beyond」。

―引用―

「♪There was nothing I couldn’t get over, so I sing. To prove myself that this feeling wasn’t a waste. もう嘆く意味はいらなくて」

「♪とめどなく僕らなりの明日を築く 刻む未来 新たな嵐求めて」

「♪どんな気色見えるのだろう未来図を握りしめて 色あせた僕らの過去に別れ告げ 望む未来願いを描いて」

―引用終わり―

見えない未来へ向かって挑戦し続ける若者たちの決意と不安と希望を歌った曲だ。

Passcodeは、4つ打ちのEDM+ラウドロックというフォーマットの楽曲で、BABYMETALのメタルとはやや異なるが、歌唱、ダンス、よくできた世界観で統一された、真摯なプロダクトである。この完成度は日本代表になりうる。何より音楽としての純粋性がある。ぜひとも欧米で勝負してほしい。EDM系のフェスが似合うと思う。

Passcodeの終演後、喫煙所に向かいながらUさんが「よかった。タワレコ名古屋のイベントに行けばよかった」とおっしゃったので、ネットで調べたPasscodeの成り立ちを話していたら、ひとりのハッカーさんが、「南菜生は結構前からベビメタ現場で目撃されている古参メイトですよ。」と教えてくれた。

公になっていない情報なので、その真偽を南菜生本人に直接聞いてみた。

え?直接?

ハイ。都内某所で南菜生に会って話し、メンバー全員と握手もしちゃいました。

(つづく)