ハイブリッド・アイドル(1) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日8月18日は、2013年、Tokyo No.1 カワイイラジオにSU-METALが出演し、2016年には、白ミサ@(東京、Zepp Tokyo2日目が行われた日DEATH。

 

「中元日芽香」「フォロワーの足音」「終戦記念日」あたりから、大勢の方からコメントが寄せられているのにレスできなくてごめんなさい。内容はよく読んでおりますが、安易にレスをつけられる雰囲気でもなく、ご批判、ご指摘、ご意見を内面化しつつ、ブログに反映させていこうと思って必死で書いております。今日から年齢が変わって57歳となりました。それを機にというわけでもありませんが、ゆいちゃんの海外移住の夢に絡んで、BABYMETALとアイドルの将来像について、考えたことを連載してみます。

 

以前書いたかもしれないが、戦時中、現ロシア領の南樺太で、林野庁嘱託の開拓団長をしていたという祖父の五男としてぼくの父は生まれた。戦後、一家は引揚者として新潟県に戻り、父は高校卒業後、上京して羽田空港の郵便局で国際貨物を扱っていて、日本航空にスカウトされて入社し、以降、定年の前年、胃ガンが見つかり、依願(イガン)退職するまで、JAL Cargo一筋に勤め上げた。なお、このダジャレは父の生前、500回くらい聞かされた。

ぼくは彼の長男として1960年の本日8月18日、めでたく誕生した。(^_-)-☆

父は、苦労して夜学で英語を学んだため、ぼくは6歳下の妹ともども、幼い頃からLL教材で英語の勉強を強いられた。ぼくは厳格すぎる父への反発もあって、あまり真面目に英語を勉強しなかったが、結果的に外国人と結婚して三人の娘を授かり、離婚後の現在も、BABYMETALを追っかけてアメリカへ行ったり、イギリス人のRichardさんと知り合うことができた。

妹はぼくと違って、真面目に英語を勉強し、高校時代に1年間、大学時代にももう一度留学し、シカゴ、シャーロットとアメリカに住んで長年働き、アメリカ人と結婚して、アメリカ国籍を取得し、日本国籍を放棄してしまった。

アメリカ社会は「人種のサラダボウル」だから、様々なルーツを持った人がいる。

妹の様子を見ていると、公的にはアメリカ人以上にアメリカ的な様式で生活するが、私的な交友関係では、日本人であることを隠さず、アイデンティティとして主張しているようだ。

すなわち、バプティスト系の教会での礼拝を欠かさず、仕事場では勤勉に働いて、政治的には共和党支持。自分の意見をはっきり言い、ボランティア活動をやり、自宅で友人とパーティもやるが、その自宅は旦那の趣味もあって、日本の掛け軸や屏風で飾り、日本料理や日本酒をふるまう。旦那が職に恵まれず共働きで、裕福な暮らし向きではないが、日本でいえば意識高い系おばちゃんに見える。

アメリカはもともと独立革命によって成立した移民の国だから、生活スタイルが、合衆国憲法と統合の象徴たるStars and Stripes=国旗への忠誠を誓う公的な領域と、民族的ルーツを堅持する私的な領域の二階建てになっているのだ。

だから、YMYのメイトさんには怒られるかもしれないが、仮にゆいちゃんがアメリカに移住して、アメリカ人と結婚して、アメリカ国籍を取得しても、日本人であることを忘れたりはしないと思う。←嫌だ~嫌だ~の声多数。

日本では、2003年の17,633人をピークに、帰化申請許可者数はここ数年減りつつあるが、それでも年間1万人前後いる。その比率は平成28年度のデータで見ると、韓国・朝鮮(56.9%)、中国(台湾含む27.5%)、その他(15.6%)となっている。韓国・朝鮮が多いのは、新たな移民ではなく、特別永住権を持った在日三世、四世の帰化によるものだろう。「その他」の中にはフィリピンなどの東南アジア、ブラジルなどの南米、そして欧米出身者も含まれる。日本の国技、大相撲の横綱―親方クラスや、南米から帰化したプロサッカー選手にも、日本国籍を取得した元外国人がいる。

ぼくも、日本人男性と結婚したフィリピン人のおばちゃんの日本国籍取得のお手伝い(書類の翻訳等)をしたことがあるが、日本に家族や仕事や財産、つまり生活の基盤を持ち、ちゃんと税金を納め、小学校卒業程度の日本語が読み書きできれば、日本国籍は取得できる。

なお、外国籍を保有したままの在留資格(ビザ)と、国籍取得はまったく意味が異なる。在留資格に基づく短期滞在者や、日本人配偶者等による永住権保持者は、あくまでも外国人だが、帰化申請をして日本国籍を取得した方はレッキとした日本人である。

多くの方は、この区別がつかず、国籍を取得していても、肌の色、顔かたちが違うと、彼らを日本人としては見ず、「元○○国人」ですらなく、現在もなお「○○国の人」=外人だと思ってしまう。

それが差別につながる可能性があるためなのか、日本には在留資格による滞在者でも、日本人風の苗字+名前を登録する「通名」制度があり、国籍取得者には改めて日本人としての姓名をつけることが許されている。韓国・朝鮮・中国系の人の場合、顔かたちでは全く区別がつかない上に、日本人風の名前なので、日本語が流暢なら○○国人、元○○国人だとはわからない。そうして通名を名乗る人たちは、親しくならないと自分が○○国出身の帰化人だということを明かさないことが多い。

以前も書いたが、ぼくは決して、○○国の出身だとか○○教を信じているとか○○党の党員だというだけで人を差別したり見下したりすることはしない。あくまでもその人の言動に違和感があれば指摘するだけだ。

しかし、日本社会には陰湿なところがあって、ある集団に属しているというだけで、その人の人格を決めつけてしまうところがあるのも事実だ。ぼく自身がそういう陰湿ないじめにあったことがあるから、その苦しさがよくわかる。

だが、ぼくは、程度問題はあっても移民を受けいれるなら、アメリカのように、ビザによる在留者と国籍取得者を区別し、前者には通名を認めず、後者には公的な部分では日本の憲法や法律の順守、日本文化の尊重を誓わせる一方で、私的領域では文化的ルーツを維持することを社会的に許容する「サラダボウル」型の社会が望ましいと思っている。

もともと古代日本は、いろいろな地域から流入した人々によって形成されたのであり、稲荷神(宇迦之御魂)=キツネ様を信奉する秦氏も渡来人である。

そういう様々なルーツをもった人々が、「和をもって貴しと為す」という「憲法」と、天皇という文化的権威=国体のもとに共存し、同化してきたのが日本の歴史だ。古代に渡来した人々は、公的には天皇の臣民としての言動をとり、私的にはルーツの文化を維持するという二重構造をとってきたのだろう。それが長い間に混合して、ある面では統一的な、そしてある面では多様性を持った日本文化を形成してきたのだと思う。

それが如実に表れているのが、日本文化の土台にある神社の種類である。

稲荷(宇迦之御魂19800社)、八幡(応神天皇14800社)、天神(菅原道真10300社)、諏訪(建御中方5700社)、神明(天照大神5400社)、熊野(熊野権現3300社)、春日(武御雷3100社)、八坂(牛頭天王/素戔嗚尊2900社)、白山(富士山、白山、立山2700社)、住吉(住吉三神2100社)、日吉/日枝(大物主2000社)、金毘羅(クンピーラ1900社)、恵比寿/戎(蛭子1500社)など、主祭神が違っても同じ“神社”として並立している。

神話の世界といってしまえばそれまでだが、もっとも社数の多いのはお稲荷さんで、天照大神を祀った神明社ではないとか、天照大神と素戔嗚尊、武御雷と建御中方など敵対する神々や、ヒンドゥー教のワニの姿をした海の神クンピーラが金毘羅神になり全国展開しているとか、混沌としている。白山神社のように山そのものをご神体とする場合や、複数の不分明な神が総体として祀られているような熊野権現や日吉/日枝人社、それとは対極的に、応神天皇=八幡、菅原道真=天神、徳川家康=東照宮とか、乃木希典=乃木神社とか、明治天皇=明治神宮とか、実在の人物が神になってしまっている場合もある。戦没者を祀った護国神社や靖国神社もそうだ。(数字はoshiete-oterasan.com「神社の種類」より孫引き)

キツネ様が日本で一番社数の多い神社であることにはビックリだが、乃木坂46には乃木神社、私立恵比寿中学には戎神社がついていることには二度ビックリである。現在のアイドル戦国時代は、神々の戦いなのかもしれない。だとすれば、猿をシンボルとする日吉神社系アイドルとか、ワニをシンボルとする金毘羅系アイドルとかがあってもよいのではないか。なんちて。

 

冗談はさておき、欧米諸国では、時折、特定の人種、宗教、出身国の人々を巡って社会的軋轢が暴動に発展することがある。

フランスやイギリスで頻発するテロも、19-20世紀の帝国主義が中東に与えた悲惨な歴史と、現在も続く政治的・経済的な搾取構造を主要因としつつも、ヨーロッパに移住して豊かになることを夢み、同化しようとした移民たちが直面した文化的な軋みを背景にしている。

例えば、ライシテ(政教分離)を大原則とするフランスで、公立学校でイスラム教徒の女子がヘジャブ(頭を覆うヴェール)を被ることを禁じられたこととか、先進国では法的に認められている飲酒や裸体の露出(水着)が、イスラム教では禁じられていることなどである。

政治的・経済的に追い詰められた教条主義的かつ過激なムスリムから見れば、「神の敵、滅すべし」となる。かといって彼らの主張を認めれば、サウジアラビアのようなイスラム絶対主義になってしまい、上部構造は自由・平等・博愛、下部構造は資本主義という西欧的価値観に基づく国民国家は崩壊してしまう。それで移民排斥とか、逆テロという事態も生じる。

ムスリムでなくとも、アメリカではロサンゼルス暴動の際、コリアンタウンが襲われたし、つい先日も、アメリカで、白人至上主義の団体とそれに抗議する人々との衝突が起こり、死者が出た。

このように移民という現象は、西欧近代国民国家観を揺るがす側面を持っている。

アメリカ・ファーストという中産階級の移民への感情を背景にしたトランプ大統領が選出されたのも、現代がその端境期にあることと関連していると思う。

日本では、60-70年代に新左翼過激派による暴動は頻発したが、移民による、もしくは移民を対象にした大規模な暴動は、ぼくの知る限り一度も起こっていない。

それは、そもそも移民の数が少ないことと銃器の規制が主な理由だろうが、私的領域での陰湿ないじめや嫌がらせがあったとしても、公的な領域では、法治主義が貫徹していて、権力を行使する警察、法制度そのものや、教育・入試制度、商慣習において、出自によるあからさまな差別がなく、おおむね公正であるということも大きいと思う。

だが、BABYMETALが目指すのは欧米市場であって、もし移住するとすれば、「移民」となる。本当に大丈夫か?